■■ Weekly Fax News 895 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 36協定の内容で相次いでトラブルに 」
(2)「 狙いどころを定める 」
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◆「 36協定の内容で相次いでトラブルに 」◆
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労働基準法第36条の規定により締結・届け出することから36協
定と呼ばれる労使協定があるが、ここのところ、その記載事項違反を
めぐるトラブルがマスコミを賑わしている。
周知の通り、36協定は労使間で締結し、労働基準監督署に届け出
ることで、法定労働時間を超えて労働させる、休日に労働させるとい
った行為が労働基準法違反に問われなくなるというものだ。ネット上
のひな形を流用する中小企業も少なくないが、実態に合わせた内容に
しないと大きなトラブルとなる可能性がある。実際、違法な長時間労
働の疑いということで、JCBやドン・キホーテ、ABCマートとい
った有名企業がマスコミに取り上げられている。問題となっているの
は、36協定で取り決めた上限時間を超えて労働させていたとされる
ことだ。締結なしの残業は当然違法行為だが、締結した内容を守らな
いことも労働基準法違反となる。JCBでは月80時間の残業を上限
に取り決めていたが、これが守られなかった疑いが持たれている。残
業代を払わないのは論外だが、適正に超過勤務手当を支払ったとして
も36協定の定めを守らなければ労働基準法違反となる。金さえ払え
ば済むという問題ではないことを理解しておきたい。
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◆「 狙いどころを定める 」◆
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何事にも報われる努力と報われないそれとがある。その分かれ目は
何処にあるのか。剣豪小説で有名だった柴田練三郎著『一の太刀』
(集英社文庫『梅一枝』所収)に、こんな場面がある。塚原卜伝が
「卜伝流」を工夫する基になった話である。ある日、石工が巨石の凹
凸を鎚で簡単に割揃えたり、切り崩したりしている姿を見た。卜伝も
同じことをやってみたがうまく割れない。石工は、「どんな石にも、
目がございます。そこに、鎚をあてれば割れ、割れた石にも目があり、
目、目、と割って形をととのえるのでございます」と言う。卜伝は、
翻然と相手を倒す「卜伝流」の極意を悟った。A氏は花屋を開業する
時、商工会指導員から独自の経営ビジョンを持つことを指導された。
特に主要顧客の設定とその獲得手法を使って目標に向かうことが大切
と言われた(狙いどころを定める)。客層設定に悩んだA氏は、繁盛
している10店の花屋を見て回った。繁盛店は客と店員の対話が活発
な店であった。客の質問に丁寧に答えたり、花選びのアドバイスを的
確にしたりする店員がいる店が繁盛していた。A氏にとって、繁盛店
作りの「目」とは、贈物にする花選びアドバイスやデザイン豊富なメ
ッセージカードの提供等によって店舗を差別化、お客の心を得ること
である。