■■ Weekly Fax News 287 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 相続時精算課税 ― 贈与に『いつ』の選択肢を加算 」
(2)「 現場主義による決定 」
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◆ 「 相続時精算課税 ― 贈与に『いつ』の選択肢を加算 」 ◆
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平成15年度の相続税・贈与税の大改正に便乗した信託銀行の“攻
勢”が目立っている。
三菱信託銀行はこのほど、日刊紙に「相続、どうする?家族で『相
続』を話し合おう。教えて!理想的な『相続手続き術』」とキャッチ
フレーズした全面広告を掲載し、信託銀行が相続のお手伝いをするこ
とをPRしている。その広告の中のQ&Aで、「相続税・贈与税の改
正で何が変わったの?」というQに対して、「『相続時精算課税制度』
の創設により、生前贈与が行いやすくなりました」とするAを掲載、
さらに、次のような解説を載せている。「…従来からの贈与税は年間
110万円まで非課税で、最高税率50%の課税(本改正で70%か
ら引下げ)に。今後は、従来からの贈与税と相続時精算課税制度のい
ずれかを選択することになります。ただし、新制度を利用して生前贈
与を行った場合は、相続時には贈与財産と相続財産を合算して相続税
を算出するため、相続税の減税効果は原則としてありません。とはい
え、贈与税は安くなる可能性があるので、生前贈与が行いやすくなっ
たのは事実です。『誰に』『何を』引き継ぐかをあらかじめ決める手
段が『遺言』だとすると、この制度によって『いつ』という選択肢が
新たに加わったといえるでしょう。」
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◆ 「 現場主義による決定 」 ◆
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ある店舗立地調査の経験である。それは、地方都市の駅前通りに総
菜店を開店する際の調査であった。通行量など過去のデータを詳しく
調べたが、結果は出店を積極的に薦められるものではなかった。歩道
が明確ではなく、周辺商店街の業績も悪かった。普通ならば、依頼者
に開業を薦めないが、簡単に諦め切れず結論を先送りしていた。
ある冬の夕方、最後の結論を出すために現地調査に行った。日が暮
れると、予想に反して、電車が着く度に狭い通りは家路を急ぐ勤め人
で溢れるのである。通りの奥に建売やマンションが増えているらしい。
その後、何度か確かめに行った。昼間はあまり活気がないが、夕方
行ってみると街に強いエネルギーを感じるのである。依頼者に事情を
話すと、膝を打って頷き即座に開業をすると言う。実は、依頼者も駅
前に立って同じ感想を持ったと言うのである。
開業後暫くは採算割れであったが、やがて駅前が整備され、住宅地
に通じる道路が整備されると昼間の歩行者が増加した。
この店は、今では地域一番店として繁盛しているが、筆者も依頼者
も現場で感じたエネルギーを信じた賜物と考えている。
机上の決定に自信がない場合、現地に行って再検証することにして
いるが、現場で出した決定には間違いが少ないものである。