■■ Weekly Fax News 295.296 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 廃止される5分5乗方式 ― 経過措置に注意 」
(2)「 店舗の盗難防止コスト 」
(3)「 廃止される配偶者特別控除 ― 14年分の利用実態 」
(4)「 先を見る目 」
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◆ 「 廃止される5分5乗方式 ― 経過措置に注意 」 ◆
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平成15年度税制改正で住宅取得資金等の贈与を受けた場合の贈与
税額の計算の特例(いわゆる5分5乗方式)は、平成15年1月1日
から平成17年12月31日までの経過措置を講じた上で廃止される
ことになっているので、財産の移転を考える際に留意しておく必要が
ある。いわゆる5分5乗の特例は、一定の要件の下で、親等が子供に
住宅取得資金を贈与した場合には、550万円までの贈与資金に係る
贈与税を非課税とする制度である。平成15年度改正で相続税と贈与
税を一体として課税する相続時精算課税制度が創設されたのに伴い、
廃止されることとなった。そのための経過措置としては、17年12
月末までは、この5分5乗方式の贈与特例を認めるというものである。
ただし、住宅取得資金等の贈与を受けた者が、その住宅資金等を贈与
した者からの贈与について既に相続時精算課税を選択している場合及
びその年のその者からの贈与について相続時精算課税選択書を提出し
ようとする場合には、この経過措置は適用されない。つまり、同一の
5分5乗方式と相続親からの贈与については、時精算課税制度の選択
適用になるということである。また、経過措置において、この特例を
選択した場合、その贈与した者からの贈与については、翌年以後4年
間の贈与については、精算課税を適用できないことにも留意しなけれ
ばならない。
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◆ 「 店舗の盗難防止コスト 」 ◆
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書店やコンビニなどの万引きが社会問題化している。警備会社のセ
キュリティシステムや防犯機器を駆使しても、なかなか容易には防げ
ないようだ。
さらに深刻な盗難被害は、店舗の破壊による強奪である。知人の店
舗(宝石店)は、明け方間際に強盗グループに襲われ、店舗を破壊さ
れて約1億円の商品を奪われた。保険に加入していたので会社は存続
しているが、日々身の危険さえ感じているという。
いくつかの事件を聞いて気づくことは、現行犯で逮捕しない限り被
害の回復は難しいことである。特に、強盗事件は事前調査や逃亡計画
まで用意し、後日犯人が捕まっても、商品が戻ってくることは稀であ
る。
そこで、店舗は警備会社と契約をしてハード面(防犯監視カメラ、
特殊防犯ガラス・カギなど)、ソフト面(保険、防犯マニュアルなど)
の対策に経費と時間を注ぐことになる。売上の数%が防犯対策費で消
える。
商品の被害はある程度保険でカバーできるが、防犯対策費は全てコ
ストである。国から補助金を頂きたいという人さえいる。
マスコミに登場する書店経営者などが、万引き被害によって経常利
益が0か赤字になると言っていることもうなずける。昨今、盗難の発
生頻度によって黒字赤字に分かれるとは、経営者は実にやるせないだ
ろう。
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◆ 「 廃止される配偶者特別控除 ― 14年分の利用実態 」 ◆
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平成15年度税制改正で配偶者特別控除のうち控除対象配偶者(合
計所得金額38万円以下の配偶者)について配偶者控除に上乗せして
適用される部分の控除が廃止され、平成16年分以後の所得税から適
用されることになったが、このほど公表された「平成14年分民間給
与の実態」によって、配偶者特別控除の利用実態を改めて見てみた。
「平成14年分民間給与の実態」によると、1年を通じて勤務した給
与所得者で年末調整を行った者のうち、配偶者特別控除の適用を受け
た者は1,165万人であった。さらに、配偶者控除と併せて受けた
者は、1,105万人で、配偶者特別控除のみを受けている者はその
うちの60万人(5.2%)にすぎない。そのほか、配偶者控除の適
用有無の観点から見ると、配偶者控除のある者は1,260万1千人、
同ない者は515万3千人となっている。要するに、多数のサラリー
マンが利用していた「配偶者特別控除」の大半が無くなり、今後、残
った配偶者控除についても、見直しのメスが入れられようとしている。
政府税制調査会の中期答申(少子・高齢社会における税制のあり方)
は、「配偶者に対する配慮のあり方としては、家事や子育て等の負担
はどのような世帯形態でも生じる上、今後、共稼ぎの増加が見込まれ
るため、税制面で片稼ぎを一方的に優遇することは適当でない」と断
じている。
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◆ 「 先を見る目 」 ◆
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仏の世界には、百万年先が見えるという目を意味する「天眼通」が
あるが、我々には1年先も簡単には見渡せないものである。せめて、
この世の幾日か先が見えたらと思うが、実は一寸先もあまりよく分か
らない。
商人が計画を立てる過程は、先を見通そうとする意欲の表現かもし
れない。よく経営者には先見性が必要と言われる。先見性の有無は、
先を見て行動しようとする「意思の強さ」や「先を判断する技法」な
どによって決定するようだ。
ある経営者は、日頃から自分は先見性がないと嘆いていた。ところ
が、ある日の経営研修会で「短いサイクルで予定や計画をきめ細かく
立てることが、先見力向上の要諦である」ということを聞いて発奮し
た。
この経営者は、自分の予定管理を徹底し、経営コンサルタントから
計画立案や職務の優先遂行技法などについて指導を受けたりした。す
ると、だんだん自分の会社の進むべき道が見えてきて、数期先の経営
成績や業界の景況が予想出来るようになった。
人は、数歩先の道路状況を見ながら歩いていると言う。暗い夜道で
転び易いのは、これが難しいからである。暗い夜道でも、明かり(予
定技法など)を持ち、目を凝らせば数歩先は見えてくる。慣れてくれ
ば、周辺や遠くの町明かりも見えるかもしれない。