■■ Weekly Fax News 332 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 借金漬けの日本 ― 残高は国民一人550万円に 」
(2)「 不利なことを告げる義務 」
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◆ 「 借金漬けの日本 ― 残高は国民一人550万円に 」 ◆
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国の借金が増加している。
財務省がこのほど発表した2003年度(平成15年度)末の国債、
借入金、政府短期証券(FB)の合計額は、過去最大の703兆1,
478億円(前年度比34兆円増)となり、国民一人当たり換算の借
金額が550万円になることが分かった。
この借金総額は、国内総生産(GDP)の1.4倍、2004年度
(平成16年度税収見込み額約41兆7千億円)の実に17倍にあた
る巨額である。
借金が増えたのは、(1)国債発行が増加した。未償還の国債残高
は556兆円となり、2002年度(平成14年度)末に比べ、52
兆円増加した(2)政府短期証券(FB)は、円売り・ドル買い介入
のための資金調達のため、発行額が86兆円となり、前年度比で28
兆円増加した――等が原因とされている。
2004年度(平成16年度)は、国債の新規発行36兆6千億円
が予定されており、借金がさらに膨らむ見込み。この国の借金約70
3兆円に地方の2003年度(平成15年度)末の借金200兆円を
加えると、約903兆円に達し、1,000兆円に近づいているわけ
で、日本はまさに借金漬けになっている。
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◆ 「 不利なことを告げる義務 」 ◆
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こんな裁判があった。建設材料販売のX社は資金繰りに窮し、従業
員解雇や事業縮小をしていたが、これらの事情を告げることなくY商
社にセメントの仕入を申し込んだところ、Y社はすんなりとセメント
を送付して来た。
結果、代金は債務不履行になったが、X社が特別事情を告げなかっ
たことは詐欺罪になるとされ、刑事責任が問われた。しかし最終判断
は、「事情を告知する法律上の作為義務ありとは認め難い」とされた。
売り込みの営業を経験してみれば分かることであるが、商品の長所
はやや大きめに、欠点はやや小さめに(又は触れない)言うものであ
る。況して、相手から聞かれない限り、自己の会社の経営がピンチで
あることなどは話さない。たとえ聞かれても、「まあまあです」程度
に答えるであろう。
ブティックなどにおいて、お客様が試着して「どう、似合うかしら」
と尋ねた場合、ほとんどの店員は「とても良く似合います」と答える。
少なくとも、この時のお客様が同意を求めるような表情であれば、
「似合いません」とは絶対言えないであろう。
前掲の裁判例は極端である。しかし、商取引でも積極的な嘘をつく
事は許されないが、こちらが不利なことを告げなかったような場合は、
必ずしも責任は問われない。