■■ Weekly Fax News 357 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 孤独に負けない社長の決断 」
(2)「 現代の経営者丸 」
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◆ 「 孤独に負けない社長の決断 」 ◆
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A社(従業員70名)の社長は、孤独感を抱きながら悶々と迷って
いた。A社は梱包用品の製造業で、関東地方と東北地方を商圏に発展
してきた。今、販売先を全国に拡大すべきかどうかを検討していた。
社員の意見を聞いたり、経営幹部や経営コンサルタントに相談したり
したが、最後は「社長におまかせします」でなかなか結論が出なかっ
た。
商圏を全国に拡大するという決断は、意外なことがきっかけになっ
た。社長が所属工業会の役員に選任されたのである。工業会の本部が
大阪にあり、今後は月1~2回大阪に行くことになった。両者は関係
ないことかもしれないが、役員引受け承諾をすると、自然に全国展開
の決断がついた。
商人の心得に「商人は孤独を生き甲斐にしなければならない」とい
う言葉があるそうだ。まさに経営者の決断は、周囲の賛同が無いと前
進できないという様な態度を嫌うものである。自分ひとりで先の見え
ない事柄を決断する孤独感に負けては、タイミングの良い転換は出来
ないものである。
意見を聞くことは必要だが、皆で考えて皆で決定しようという多数
決の心がけは、時間もかかるし責任の所在も曖昧である。当然、決定
事項に取り組む社長の覚悟も弱くなるであろう。結局、会社の盛衰と
転換は、孤独に負けない社長の決断による。
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◆ 「 現代の経営者丸 」 ◆
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『日本永代藏』(江戸時代の文豪、井原西鶴の著作物)に、貧乏か
ら脱出する服用薬の処方として「長者丸」なる妙薬がある。すなわち、
「早起き5両、家業20両、夜なべ8両、始末(倹約)10両、達者
7両、この50両を細かにして、胸算用・坪目の違いなき手合せ念を
入れ、これを朝夕呑み込むからは長者にならざると言ふ事なし」とあ
る。
これを現代の経営体(特に、個人事業や中小法人企業)に当てはめ
ると、商売が継続して繁栄するためには、一体どんな経営体制や心構
えが求められるだろうか。
この西鶴の長者丸とは別の方向から、自己流に「経営長者丸」とい
う薬の処方を考えると、大体次のような成分構成になろう。
すなわち、差別化されたビジョン25両、明確な経営戦略12両、
健全な資金繰り7両、社員との信頼関係5両、ツキ(幸運)1両、合
計50両分の薬服用を日々心掛ける。差別化されたビジョンとは、他
社にない差別化された商品・サービスの継続的な工夫であり、効率の
良い経営が可能となる。
明確な経営戦略とは、経営陣が経営資源をどこに集中するかを決断
し、社員が一致団結してこれに取り組むことである。以上が主成分で
あり、健全な資金繰り・社員との信頼・ツキ(幸運)は大切であるが、
有って当たり前、且つ補強的な成分である。