■■ Weekly Fax News 376 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 脚光浴びた新株予約権 ― 資金調達の“武器”に 」
(2)「 福利厚生制度の変遷 」
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◆ 「 脚光浴びた新株予約権 ― 資金調達の“武器”に 」 ◆
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ライブドアとフジテレビジョン・ニッポン放送の争いは、三者の合
意が成立し、終息しているが、この騒動で一躍脚光を浴びたのが、ニ
ッポン放送がフジに対して470万株を発行し、その全権利を与える
として裁判沙汰に発展した「新株予約権」の問題である。新株予約権
は、会社の株式を予め定められた価額で購入できる権利のことである。
商法は、新株予約権について「新株予約権とは、之を有する者が会社
に対し、之を行使したるときに、会社が新株予約権者に対し、新株を
発行又は之に代えて会社の有する自己の株式を移転する義務を負うも
のを言う」(第280条の19)と定義している。平成13年の商法
改正において、従来からあった「新株引受権」の一部を分離させて
「新株予約権」が誕生している。すなわち、新株引受権には、従来
(1)株主が有する新株発行の際に第三者に優先して株式の割り当て
を受ける権利(2)ストックオプションや新株引受権付社債などでい
う新株引受権―の二つがあったが、このうち、(2)の新株引受権を
13年の商法改正で「新株予約権」として区別したものである。新株
予約権は、単独で発行することができる(改正前の新株引受権は、ス
トックオプションの場合を除き、単独発行はできなかった)ほか、社
債との組み合わせで発行することができ資金調達等に活用されている。
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◆ 「 福利厚生制度の変遷 」 ◆
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かつて、就職のために地方から都会に出てきた者にとって、会社
(特に大企業)は生活共同体の中心だった。
新入社員になった途端に歓迎会とお花見会、各種レクリエーション、
秋には社員旅行や運動会、やがて忘年会と新年会等と学校行事並みの
スケジュールだった。その他、社宅や保養所を設置したり、(制度で
はないが)会社ぐるみで結婚仲介や引越の手伝いをしたりしたもので
ある。近隣の付合いよりも会社の付合いを重視した。
ところが、今や社員旅行や運動会は参加者が減少して廃止になった
り、結婚式に上司や同僚を呼ばない人が増えたりしている。会社によ
っては、退職金制度を廃止にした。
福利厚生制度は一種の会社の福祉制度である。今でも年金や退職金
の役割は重要だと思うが、社員旅行や社宅などの必要性は衰退してい
る。相当割合の社員が、社員旅行や忘年会等の廃止を主張する。社宅
がほとんど空き家になっている場合もある。
年功序列や終身雇用制度が崩壊しつつある現在、福利厚生制度は単
に日常生活の恩恵よりも、子育て支援・病気療養支援や年金制度の充
実に関心が向けられている。しかし、この部分は個別会社の努力だけ
では難しく、国全体の福祉システムとして福利厚生制度の有り方を見
直すべきであろう。