■■ Weekly Fax News 381 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)『「中間登記省略」不可の影響 ― 登録免許税も負担増に 』
(2)「 お客を吸引する勢い 」
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◆『「中間登記省略」不可の影響 ― 登録免許税も負担増に 』◆
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105年ぶりの大改正が行われた「改正不動産登記法」が施行され
て4か月が経過したが、このような大改正だけに不動産取引や登録免
許税の課税など実務面に多大な影響を与えるものとなっている。
今回の改正で最も注目されるのは、「中間登記の省略ができなくな
ったこと」である。これまで、例えば、土地が短期間のうちにA →B
→Cと転売された場合、Bを省略し、A →Cの取引として登記する
ことができた。しかし、今回の改正により、従来の申請書による登記
申請が廃止され、代わって「登記原因証明情報」を法務局に提出する
ことが必要となり、登記の原因や物件変動の情報が土地ごとに残るた
め、結果的に「中間登記の省略」はできなくなったわけである。
中間登記の省略ができないことが不動産取引に与える影響は少なく
ない。登記の回数が増え、そのたびに「登記免許税」の課税が行われ
るため、税負担が増加することになるからだ。
税務面の観点から見れば、税務当局が不動産取引の情報を把握出来
るため、課税が強化されることにもなる。そのほか、今回の改正で大
事なのは「権利証にかわり登記識別情報が導入されたこと」である。
この情報を他人に見られると、悪用される恐れがあるため、管理を厳
密に行う必要がある。
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◆ 「 お客を吸引する勢い 」 ◆
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観光都市にある同じ商店街で、手作り装飾品(主としてお土産)を
販売する2人の経営者と面識がある。活気のある観光地なので駅前通
行量も多く、2店の規模も同じであるが、客数や売上が全く違うので
ある。
繁盛店の経営者は、観光客の流れを見ながら呼び込みの掛け声を変
えたり、店員への指示を分かりやすく与えたりしている。店員の表情
や言葉が明るく、賑わっている。
他方、停滞店の経営者は、店舗の奥から通りを眺めているだけであ
る。店員が無表情で、たとえお客が入店しても歓迎の言葉も発しない。
お客は店頭の商品を見ただけで帰ってしまう。経営者の口癖は、「う
ちの従業員はやる気と能力がない」
この2店の差はどこにあるのだろうか。『孫子』の兵法に、「善く
戦うものは、勢いに求めて人に求めず、よく人を択びて勢いに任す」
(勢篇)という言葉がある。とかく上に立つ者は、現場の状況を捉え
ないで、人材の不足を嘆いたり、業績不振の原因を部下に求めたりし
やすいものである。
特に観光地の客足は、季節・天候・気温・時間帯によってムラがあ
る。客足の勢いを捉えて対応しない限り、賑わっている通りでも意外
と来店客は少ないものである。従業員の良否よりも、勢いを捉えた経
営者の指揮によって客吸引力の強弱が決まる。