■■ Weekly Fax News 382 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 定年の段階的引上げにともなう3つの選択肢 」
(2)「 期待と関心を寄せる 」
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◆ 定年の段階的引上げにともなう3つの選択肢 ◆
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高年齢者雇用安定法の改正によって、平成18年4月1日から、定年引
上げなどの雇用確保措置が事業主に義務づけられることになりました。
《改正の主な内容と注意点》
(1)定年の段階的引上げ
平成18年4月1日~同19年3月31日;62歳
平成19年4月1日~同22年3月31日;63歳
平成22年4月1日~同25年3月31日;64歳
平成25年4月1日~ ;65歳
(2)3つの選択肢がある
65歳までの雇用を確保するために、事業主は次のいずれかの措置を講
じなければなりません。
①定年制を廃止する 定年制そのものをなくしてしまおうというもの
で、わが国ではまれなケースですが、ないわけでもありません。実際、
キヤノンや前川製作所などが活用しています。
②定年を引き上げる 定年年齢を引き上げるというのは、定年前の雇
用契約のままで、身分も正社員のままということです。
③継続雇用制度を導入する これには、定年に達した者を引き続き雇
用する「勤務延長制度」と、定年でいったん退職し再雇用する「再雇
用制度」とがあり、実際には後者のケースが多いと思われます。なお、
継続雇用の対象となる高齢者について基準を定める必要があります。
《雇用確認措置の留意事項》
①現在60歳になる社員がいない、あるいは当分の間60歳に到達する社
員がいない事業場であっても、この定年引上げに伴う措置は講じなけ
ればなりません。
②継続雇用の場合、法律で定められた定年以前に雇用を終了するよう
な規定を作ることはできません。
③定年延長であれ、継続雇用であれ雇用期間中に雇用契約を解除する
場合は解雇となるので、正当な事由と解雇予告(通常解雇の場合)が
必要になります。
④高齢者をどのように活用し戦力化していくかという前向きの考えが
必要です。高齢者は高度な熟練と経験が豊富ですが、健康、体力、能
力などで個人差が著しくなります。その個人差をしっかりと見極めて
上手に活用することが大切です。
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◆ 「 期待と関心を寄せる 」 ◆
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A社長(50歳)は駅前で中規模洋品店(従業員はパートを含めて1
5名)を営むが、従業員の労働意欲と定着率の低さに大変悩んでいた。
初めて相談に乗ったときは自分の代で廃業したいと言うほど落ち込ん
でいた。
「入社3か月の試用期間を通過する者は2割もいないのです。次々
に似たような者が入ってくるから数だけは揃います。応募者の質が低
いですね。とにかく、これでは、やる気のある熟練者が育ちませんよ」
A社長は従業員への期待と関心を失っているように見えた。まるで
問題のある子供を抱えた親の嘆きのようだと感じた。思い切ってアド
バイスしたことは、「社長、社員全員に毎日1回は声を掛けてみたら
どうでしょうか。まず、社長が従業員に期待と関心を寄せることが改
善の出発と思いますよ。社長が感心を持てば、相手もこちらのことに
関心を持ちますよ」というものだった。
すなおなA社長は何か共感するものがあったようで、すぐ実行を始
めた。結果は、A社長が驚くほどだった。定着率が上昇しただけでな
く、従業員が社長の考え方や店の運営方法等に関心を持つようになっ
た。従業員が社長の話に気軽に応えるようになり、仕入や接客等につ
いて提案する従業員も出るようになった。「応募者の質も高くなった」
と、A社長はにっこりした。