■■ Weekly Fax News 385 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 破産ゴルフ場会員権 ― 譲渡所得にならない理由 」
(2)「 リーダーシップと性格 」
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◆ 「 破産ゴルフ場会員権 ― 譲渡所得にならない理由 」 ◆
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国税不服審判所はこのほど、「破産宣告を受けた法人が経営するゴ
ルフ場に係るゴルフ会員権は、譲渡所得の対象になる資産に該当せず、
他の所得との損益通算はできない」とした裁判事例を明らかにした。
本件の請求人は、「本件ゴルフクラブは、会社が破産宣告を受けた
後も引き続きプレーすることが可能であり、本件破産宣告によって破
産債権に移行するのは預託金請求権のみであって、『プレーをする権
利』ないしは『プレーできる権利』は、破産債権とはならないから、
本件会員権に係る施設利用権は消滅していない。本件会員権は譲渡所
得の対象となる資産に該当する」などと主張した。
これに対し、国税不服審判所は次のように述べて、棄却の裁判を行
った。
(1)破産宣告を受けたゴルフ場の預託金会員制のゴルフ会員権につ
いては、破産宣告によって、優先的施設利用権を含むすべての権利が
破産債権に変更されるから、請求人の主張には理由がない。
(2)破産宣告後の営業継続によるプレーする権利があるからといっ
て、本件会員権に優先的施設利用権が存在することとはならない。
(3)譲渡所得の基因となる資産に該当しないから、譲渡所得の対象
にならない。したがって、他の所得と損益通算はできない。
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◆ 「 リーダーシップと性格 」 ◆
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輸入雑貨販売店チェーンを経営するA社長の悩みは、若手正社員の
労働意欲である。入社3年くらい経つと仕事の要領を一通り覚え、そ
ろそろ店舗か売場の責任者に抜擢しようとする。ところが、急に労働
意欲を落としてしまうのである。以前の社員気質は反対だった。あま
りやる気の無かった社員でも、何かの責任者にすると顔が輝いた。
さらに、責任者(チーフとかリーダーと呼ぶ)に嫌々就いた社員は、
退職率が高くなる傾向があることだ。例えばXリーダーは、お客様の
クレームから逃げたりして、担当部門の責任を負うことを避けている。
だから、部下が素直に従わない。販売等の仕事を怠けている訳ではな
いが、部下の指導や外部との交渉が出来ないのである。社長も本人も
「消極的な性格」と諦めている。
長たる者の素養(リーダーシップや責任感)のレベルには、性格か
ら来る要因も多いと思うが、修正がきかない訳ではない。A社長の要
請により先のXリーダーと面談してみると、決して労働意欲の低い人
ではなかった。原因は、商品知識やコミュニケーション技法を十分に
習得しておらず、自信を持って仕事が出来ないことだった。
リーダーシップ能力等の有無は性格に求めがちであるが、訓練や体
験を積むことによって大いに強化することが可能である。