■■ Weekly Fax News 435 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 経営の安定と不安定 」
(2)「 不安に立ち向かう覚悟 」
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◆「 経営の安定と不安定 」◆
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同じ農作物を毎年同じ場所に連作すると、生育が不振になる。作物
が土地を嫌うようになるのか土地が作物を嫌うようになるのかは分か
らないが、同じことの繰り返しは生育を衰弱さるらしい。反面、植木
等は植え替えることによって生育が衰えてしまうことが珍しくない。
安定と不安定は、物事の良化と悪化を支配する。
経営の安定は望ましいことである。注意すべきは、経営の安定とは
すべてのリスクを避けて、安全第一の行動をすることではない。時流
に合わせた品揃えや経営戦略等の変更によって、適度な成長発展を図
りながら安定することが大事である。変化対応によるリスクを恐れて
いては安定しないのが実際の経営である。農作物の連作同様、単純な
繰り返しは経営を衰退させるであろう。
不安定ということも悪いことだけではない。一般に、安定の時は緊
迫感が弱まるが、不安定の時はそれが強まるものである。不安定だか
ら、新しい商品や顧客を開拓したり、思い切った市場転換をしたりす
る勇気が発揮出来る。後で振り返ってみて、企業の躍進は不安定な要
素を抱えている時に発揮されることが多いと聞く。
安定と不安定は、どちらにも役割がある。安定に安住せず、不安定
をエネルギーと据える心掛けが求められる。
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◆ 「 不安に立ち向かう覚悟 」 ◆
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景気が好転しつつある現在、多くの経営者から、「この景気は長続
きするのでしょうか?」という言葉を聞く。或いは、「業績はやや良
くなったが、今度は人手不足が心配だ」「参入者が増えて、競争が激
しくなるのが心配だ」等々の不安を耳にする。
このような場合、助言者としては、「社長、心配するよりも日頃か
ら対応策を練って、来るかも知れない苦難への覚悟を持ちましょうよ」
と言う。その後、「出来る限りの準備をした以上、日々やるべきこと
を実行していく以外に無いですよ」と付け加える。
経営者の心境は、経営陣や管理者は当然、一般社員にも急速に伝播
するものである。特に、経営者の不安は組織のやる気エネルギーを低
下させるようである。心配するエネルギーを人材開発や財務改善の努
力に注いでいけば、周囲も安心して仕事に取り組み、能力を発揮する
ものである。
経営者同士の対話においても、無闇に景気を嘆いたり、競争激化を
心配したりする経営者は仲間から敬遠されるものだ。つまり、そのよ
うな人と話しているとツキを落とすことになるからだ。創意工夫の出
来ない経営者とみなされるかもしれない。これと反対に、不安に負け
ず困難に立ち向かう覚悟を持った経営者は、問題解決のノウハウを持
った頼もしい人物と映るのであろう。