■■ Weekly Fax News 433 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 18年度経済白書 ― 金利上昇の影響度を試算 」
(2)「 人を使う者の責任 」
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◆「 18年度経済白書 ― 金利上昇の影響度を試算 」◆
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平成18年度の「経済白書」(平成18年度年次経済財政報告)が
発表された。
本白書のサブタイトルは、「成長条件が復元し、新たな成長を目指
す日本経済」と銘打っている。構成は、(第1章)新たな成長を目指
す日本経済とその課題(第2章)企業行動の変化と企業からみた構造
改革の評価(第3章)家計を取り巻く環境の変化と人間力強化に向け
た課題――から成っている。本白書で注目される箇所としては、まず、
第1章第2節「デフレ脱却に向けた展望と課題」の中で、今後に予想
される金利上昇に対する経済への影響について言及している点である。
白書は、「長期間にわたりゼロ金利の環境での経済活動に適応してき
た各経済部門では、今後は金利上昇を踏まえた対応が求められる」と
述べている。さらに、金利上昇が企業経営に与える影響としては、
「1%ポイントの金利上昇は企業部門全体で約3兆円の金利負担の増
加。有利子負債の圧縮により影響は小さくなりつつあるが、中小企業
や負債負担の大きい業種で収益の押し下げ幅が大きい」と指摘してい
る。ちなみに、2005年に金利が1%上昇していたとして試算をし
てみると、企業の経常利益の増加率は、資本金1億円以上の大中堅企
業で5.3%のマイナス、資本金1千万円以上1億円未満の中小企業
の場合は、マイナス8.7%にもなるとしている。
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◆ 「 人を使う者の責任 」 ◆
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ある戦記物語を読んでいて、「しっぱらい」という面白い言葉に出
会った。殿軍(しんがり)と同じような意味で、軍隊が退却する際に
最後尾で敵を防ぐ軍のことである。危険な役目で、全滅する危険が大
いにある。
Aさんは、中堅運送会社の事故処理と苦情処理係りである。何らか
の事故や苦情が毎日のように発生し、解決したかと思うと、別の処理
案件がすぐ持ち込まれる。事故や苦情を起こした当人に付き添って謝
罪に行ったり、状況を調査したりしている。
Aさんはこの仕事をしていてよく憤慨することがある。管理者(現
場の主任から社長まで)は部下の仕事の成果を把握しているのに、部
下が発生させた事故や苦情の処理からは逃げてしまうということであ
る。事故や苦情が発生すると管理者が共通して言う言葉は、「仕事が
忙しいから全部面倒見てよ」である。部下が発生させた「負の成果」
は仕事とみなさず、人を使う者の責任と考えられないようだ。
大企業が大事故等を起こしたような時も、事故の担当者のみが奮闘
している場合と、直ちにトップが登場する場合がある。軍隊と同様、
「しっぱらい」に全て押し付けて自分は安泰でいようとする態度は、
人を使う者の立場としては失格ではなかろうか。