■■ Weekly Fax News 439 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 耐震改修促進税制 ― 通達で適用年分を明示 」
(2)「 ある事業承継の断面 」
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◆「 耐震改修促進税制 ― 通達で適用年分を明示 」◆
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国税庁はこのほど、法令解釈通達「『租税特別措置法に係る所得税
の取扱いについて』の一部改正について」(課個2-9他)を発遣し
た。
これは、平成18年度税制改正で創設された耐震改修促進税制に関
する取扱いを定めたものである。耐震改修促進税制は、平成18年4
月1日から20年12月31日までの間に、一定の計画区域内で、新
耐震基準を満たさない昭和56年5月31日以前に建築された居住用
家屋について、新耐震基準を満たす耐震改修を行った場合、要した費
用の10%(最高20万円)を税額控除できる措置である。今回の通
達では、改修の適用年分に関する取扱いが明らかにされた。「『既存
住宅の耐震改修をした場合の所得税額の特別控除』の適用年分は、耐
震改修が完了した日の属する年分となることに留意する」(41の1
9の2-1)としている。
また、この適用を受けるには、確定申告の際に「計画に関する明細
書」、市区町村長が発行する「住宅耐震改修等証明書」及び「住民票
の写し」が必要とされるが、通達では、「住民票の写し」について
「適用を受ける家屋の所在地がその者の住所地として記載されている
ものであることに留意する」(同2-2)としている。
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◆ 「 ある事業承継の断面 」 ◆
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ある老舗和菓子店の事業承継と相続の問題である。この店の経営者
(80歳)が急逝して、30年間一緒に働いてきた長男のAさん(5
8歳)が店を継いだ。Aさんには兄弟姉妹が5人あり、相続権をめぐ
って争いになったのである。
結局はAさんが他の兄弟の相続分を1人当り3,000万円程で買
取り、土地や店舗を取得した。全部で1億5千万円の借金をしたが、
毎月の返済を済ますと生活費も残らないような経済状態になった。
Aさんは語る。「老舗店の後継者として商売を続けたいから土地や
店舗を売るわけにはいかない。月700万円の売上で、73歳まで1
5年間100万円を払い続ける。大金を相続した兄弟たちは安楽に暮
らしていますよ。但し、兄弟たちは、兄は莫大な財産を独り占めにし
たと考えているようだ」
現在、Aさんは次の後継者と相続を真剣に考えている。息子2人と
娘が一緒に働いているが、将来自分と同じ問題を起こさないためであ
る。既に、2度も遺言書を作成した。大きな保険にも入っている。
ところが、最近上の息子に後継と相続の話をしてみて愕然とした。
「兄弟の為に大借金するくらいなら、不動産を売って山分けにするよ。
資金があれば、他所へ行って和菓子店でも別の商売でも出来るからね」