■■ Weekly Fax News 454 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 先人に学ぶ 」
(2)「 人の行動習性は左回り 」
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◆「 先人に学ぶ 」◆
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知人の依頼で某社中堅社員Aさん(35歳)の相談に乗った。この社
員は医療機器販売会社で営業成績トップを何年も継続し、若くして課
長に抜擢された。
「部下に営業のコツを教えられないのです。私は言葉で説明するこ
とが下手で、部下はよく理解できないようです。まだ若い為か、説得
力に欠けるのでしょうか。ずっと考えてきたのですが、進歩がありま
せん」このように話すAさんは表情豊かな実直な青年で、第一印象も
大変良かった。理屈よりも「行動第一」をモットーにしていた。
まず、「問題を考えて、何か解決案が出ましたか」と聞いてみた。
「いい考えは浮かびませんでした。アイデアの源泉が見つからないの
です」とAさんは顔を曇らせた。次に、「Aさんの座右の銘、或いは愛
読書を教えて頂けませんか」と聞いた。答えは、「座右の銘はありま
せん。本は全く読みません。勉強している閑はありませんよ」と。
『論語』に、「吾れかつて終日食らわず、終夜寝(い)ねず、以て思
う。益無し。学ぶに如かざるなり」(寝食を忘れて考えるより先人に
学ぶことが大事)とある。結局、ある分野において優秀であっても、自
信を持って部下を指揮する為には、先人の残した知恵(古典や歴史上
の人物論等)に学ぶ必要がある。Aさんには積極的な自己啓発を勧
めた。
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◆ 「 人の行動習性は左回り 」 ◆
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運動会のトラック競技は左回りになっている。右回りにするとカーブ
で転倒しやすいそうである。また、ある本によると、痴呆者が外を徘徊
する時は曲がり角を左に折れて行くことが多いので、そのつもりで探す
と見つかる確率が高いと言う(三好春樹著『老人介護 常識の誤り』
新潮文庫)。
道路の通行の場合は、人も車も右側通行より左側通行の方が落ち
着くように感じる人が多いようだ。目を閉じて道の真ん中をまっすぐに
歩くと、人にもよるがだんだん左に寄る傾向があることも頷ける。心臓
のある左側の空間を安全に保ちたいという行動習性があるからだと
聞いた。
ところで、スーパーマーケットに入る場合は右側から入って、左側に
回って行くレイアウトが多い。セルフサービス業態の店では、一般に
左手にカゴを持って右手で商品を取りながら歩くからという理由がある。
また、人は店頭や駅頭に立つと、左側に視線を向ける習性があるよ
うだ。立地条件等において、「駅前に店舗を構える場合は、駅頭から
見て左と右のどちらが目に入りやすいか」という質問がある。これも一
般に左と答えるが、駐車場のレイアウト、看板の位置、陳列の順序や
高さ、POPや値札の取付け方等にも応用できる。商売においては、人
の行動習性を知ることが役に立つ。