■■ Weekly Fax News 456 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 夫婦の年金 ― 離婚しない方が有利 」
(2)「 朝三暮四 」
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◆「 夫婦の年金 ― 離婚しない方が有利 」◆
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4月に導入される離婚時の年金分割制度は、妻にとって「お得」な
のでしょうか。そう思っている人が多いようですが、金額だけで見る
なら、離婚しない場合より有利とは言えません。
離婚して分割制度を利用する場合、夫から妻に分割される年金は、
妻名義の年金になり、夫が亡くなっても、妻に終身支給されます。分
割の対象になるのは、結婚期間中に払った保険料ら対応する夫婦の厚
生年金(報酬比例部分)です。年金の多い方から少ない方へ、最大で
二人の取り分が同じになるまで分割できます。ずっと専業主婦だった
人の場合、最大で結婚期間に対応する夫の厚生年金の2分の1を受け
取れます。
一方、離婚しなかった場合は、夫が亡くなった後、妻に遺族厚生年
金が支給されます。金額は、夫の厚生年金の4分の3が基本。結婚前
の期間に対応する年金も含めて計算します。分割で妻が得られる年金
より、格段に有利です。ただ、遺族年金は、妻が再婚などをすれば打
ち切られます。
結婚していれば、夫の厚生年金に「加給年金」という加算がつく場
合もあります。夫に生計を維持される65歳未満の妻がいて、一定の
要件を満たせば支給されます。受け取れる年齢は生年月日によって異
なり、現在60歳(1946年生まれ)の男性だと63歳から。金額
は最大で年額39万6千円(2006年度)です。
加給年金は、妻が65歳になって自分の基礎年金を受け取り始める
と、支給が打ち切られます。そのかわり、妻の基礎年金に「振替加算」
という加算がつきます。
離婚すれば、夫は加給年金を受け取れず、妻の振替加算もつきませ
ん。ただし、妻が振替加算を受け取り始めてから離婚した場合は、そ
の後も受給できます。
離婚という重大事を、金銭面の損得だけで考えることはできません
が、夫婦2人で生涯に受け取る年金は、離婚しない方が一般に多くな
るでしょう。
これまで、わかりやすくするために「夫」「妻」としてきましたが、
妻の厚生年金が夫よりも多ければ、夫が分割を受ける側になります。
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◆ 「 朝三暮四 」 ◆
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商人に妥協や策略は付き物である。商談において、取引条件を提示
されればこちらが有利になる何かを要求し、相手が受け入れれば合意
となる。相手はこちらの要求を大体予想して最初の提示をしてくる。
中国の古典に、「朝三暮四」(出典:『荘子』、『列子』)という
言葉がある。その意味を分かり易い寓話から引用すると、次のように
なる。猿芸の親方が猿たちにトチの実を分けてやろうとして、「朝に
三つ、暮に四つ」と話した。すると、猿たちが怒ったので「では朝に
四つ、暮に三つ」と言い替えたら、猿たちは大喜びで従ったという。
一体、この猿たちを愚か者と笑えるだろうか。
商取引などにおいては、この「朝三暮四」を日々繰り返しているよ
うに思える。仕入価格の1割引を要求すると、「では替わりに数量を
1割増しましょう」と提示されたり、決済条件において「月末に半額
を現金払い、半額を3ヵ月後期日の手形」と要求すれば、「月末に2
割を現金払い、残り8割を3ヵ月後期日の手形」と提示されたりして、
結局は妥協される。
しかし、妥協させた方が有利とは限らず、商取引の結果は朝三暮四
を軽視できないものである。上記の決済例のように、手形決済の割合
を大きくした為に、後日資金繰りに苦労するような場合もあるからで
ある。