■■ Weekly Fax News 459 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 サラリーマン負担 ― 結局増加 」
(2)「 保護と指図 」
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◆「 サラリーマン負担 ― 結局増加 」◆
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1月の給与明細を見て、「手取り額が増えている」と気づいた人は多
いはず――。国から地方に税収の一部を移し替える制度改正のため、
国税である所得税の税額が1月から減ったためだ。しかし、6月には
地方税の住民税額が、所得税の減少分と同じ額だけ引き上げられる。
さらに定率減税の廃止という実質的な増税も重なるため、6月以降は
昨年より税負担が増えることに注意が必要だ。
給与の手取り額が増減するのは、政府が2006年度の税制改正で、
07年以降、所得税から住民税に税収を年間約3兆円移す(税源移譲)
ことを決めたためだ。地方自治体が自由に使える財源を増やし、地方
分権を進める狙いがある。その際、個人が納める税額の合計は変わら
ないようにしたが、税率の変更時期が所得税は1月、住民税は6月と
ずれがある。このため、一部の高額所得者を除く大多数のサラリーマ
ン世帯は、1月に納税額全体が減り、6月に再び増えることになる。
さらに、税額が変わるもう一つの要因として、1999年に導入さ
れた定率減税の全廃がある。1月から5月までは、所得税の減額分が、
定率減税廃止による税負担の増加分を上回るため、全体では減税とな
る。しかし、住民税額が増える6月には、定率減税の廃止分が負担増
ににつながる形になる。年収500万円で会社員の夫と専業主婦、子
供2人の4人家族のモデル世帯でみると、①1~5月は、所得税額の
減少と、所得税の定率減税廃止による負担増の差として2250円が
毎月軽減される②6月からは住民税額の増加と、住民税の定率減税
廃止が重なり、昨年12月までより3150円の負担増となる。07年の
1年間では、負担が1万7600円増える計算だ。
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◆ 「 保護と指図 」 ◆
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親子関係や雇用関係は、「保護」と「指図」(指揮や命令)のバランス
によって成立しているのではなかろうか。
福沢諭吉著『学問のすゝめ』(岩波文庫)によれば、「世話の字に二つ
の意味あり、一は保護の義なり、一は命令の義なり。(中略)右の如く
世話の字に保護と差図と両様の義を備えて人の世話をするときは、真
によき世話にて世の中は圓く治まる可し」とある。
親が子供を保護するのみで、行動が正しい方向に向かうよう指図しな
ければ親の役割は片手落ちである。雇用関係の場合も同様で、従業員
の給与や福利厚生ばかりに目を向けて、仕事上の指揮命令等の指図
を明示しなければ、大いに管理怠慢となる。反対に、指図ばかりに力を
入れて待遇整備や教育訓練を怠れば、やはり片手落ちである。
ところで、最悪なことは保護も指図もしない親子関係や雇用関係等で
ある。雇用であれば、指図もほとんどしない代わりに、待遇向上や雇
用維持に無関心なことである。パート社員に限らず、正社員に対してす
ら、経営者や管理者が部下の世話を真剣にしないような会社が年々増
えているように思う。
ちなみに、『学問のすゝめ』によれば、世話は保護よりも指図に偏れば
「大きに御世話なり」、指図より保護に偏れば「大きに御苦労なり」と言
うそうである。