■■ Weekly Fax News 458 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 『 残業代 』― どう計算 」
(2)「 六つの不治 」
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◆「 『 残業代 』― どう計算 」◆
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働く時間を規制する「労働時間制度」は、イギリスの産業革命後、長時
間労働から年少者や女性を保護するために考案されたもので、その後、
成人男性も対象になったといわれる。「労働時間」とは、休憩時間を除い
た実働時間のこと。朝礼や作業前後の清掃などの時間も含まれる。当
初は1日8時間、週48時間が原則で、1週1日、または4週4日の休日
数なども規定された。
労働時間を欧米並みに短くするべきだという機運が高まったのは80
年代。87年の労働法改正で週46時間になり、その後の段階的な削
減によって、97年4月から現在の40時間労働制が完全実施された。
週40時間を超えて仕事(残業)をさせるためには、残業時間の上限や
休日出勤などに関し、労働法36条に基づいて労使で協定を結ぶこと
が必要。このため、「三六協定」とも呼ばれている。
使用者は、三六協定による残業、深夜労働、休日労働をさせた場合、
通常より上乗せした賃金を支払わなければならない。「割増」といい、
残業なら1時間当たり25%以上。午後10時~翌日の午前5時の「深
夜」も25%以上。休日に出勤させると1時間当たりで35%以上の上
乗せとなる。残業と深夜、休日と深夜の勤務が重複すれば、双方の
割増率が加算される。残業が深夜に及んだ場合の割増率は25%+
25%で50%、休日の深夜労働は35%+25%で60%だ。最近、長
時間労働で健康を損なう労働者の数が増える傾向もみられる。このた
め、厚生労働省は長時間労働を防ごうと労働法を改正し、一定時間を
超えて残業したケースには、現行の割増率25%より引き上げる方針
を決めている。
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◆ 「 六つの不治 」 ◆
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前回のコラムで紹介した医師の扁鵲(へんじゃく)の言葉に、「六つの
不治」というものがある(筑摩書房刊『史記Ⅱ』小竹文夫・小竹武夫訳
より引用)。
病気における六つの不治とは、次の通りである。第一の不治は、驕
慢(きょうまん:おごりたかぶる)で道理を無視すること。第二の不治は、
身を軽んじ財を重んじること。第三の不治は、衣食の妥当でないこと。
第四の不治は、陰陽が五臓で合併し、気の不安定なこと。第五の不治
は、形容(すがた)まで衰えはてて、薬を受けつけないこと。第六の不
治は、巫女(みこ)の言葉を信じて、医者を信じないこと。これらの一つ
でもあれば、すこぶる治癒しにくいのである。
筆者は、これになぞらえて、「経営不振の六つの不治」を作ってみた。
第一の不治は、経営者が自己修養を忘れ、商売不振を他人の所為に
する。第二の不治は、健康に留意せず、金儲けの為には寝食や休養
も忘れる。第三の不治は、分不相応の借金を抱え、交際に見栄を張る。
第四の不治は、怠慢経営により悪循環を引き起こし、ますますやる気
を失っていく。第五の不治は、経営陣の表情が意気消沈して、取引先
やお客様が寄り付かなくなる。第六の不治は、世間の噂に流されて、
先人や専門家のアドバイスを素直に聞かなくなる。