■■ Weekly Fax News 472 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 定期同額給与の改定 ― 政省令で職制変更もOKに 」
(2)「 むすびと柿の種 」
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◆「 定期同額給与の改定 ― 政省令で職制変更もOKに 」◆
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国税庁では、かねてから「役員給与に関する質疑応答事例」をホー
ムページで公開し、その中で「定期同額給与」における「定期給与の
額を改定した場合の損金不算入額」について2例を掲げていたが、こ
のほど公布された平成19年度税制改正に伴う改正政省令で、3例目
が追加された。
質疑応答事例では、役員に対して支給する定期給与の額につき事業
年度の途中で改定が行われた場合は、その改定に係る定期給与のうち、
次に掲げるものについては、定期同額給与に該当し、原則として損金
の額に算入されることとされている。(1)定期給与の額につき当該
事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3月を経過する日ま
でにその改定がされた場合における次に掲げる定期給与。ⅰ)その改
定前の各支給時期における支給額が同額である定期給与。ⅱ)定期給
与の額につき当該法人の経営の状況が著しく悪化したしたこととその
他これに類する理由によりその改定がされた場合の当該事業年度のそ
の改定前の各支給時期における支給額及びその改訂後における支給額
がそれぞれ同額である定期給与。これに対し、このほど公布された改
正政省令では、「法人の役員の職制上の地位の変更、その他これらに
類する事由により改定されるもの」が追加されている。
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◆「 むすびと柿の種 」◆
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昔話「さるかに合戦」に出てくるサルは、拾った柿の種をカニが拾
ったむすびと交換して食ってしまい、さらに実った柿の実を横取りし
ようとして大変な目に会う。
人はふつう面倒な手間を掛けないと成果が得られない物よりも、成
果そのものを見つけて獲得しようとする。特に窮していれば、柿の種
を植えてたくさんの実を得るよりも、むすび一つを有り難がる。苦節
幾年も柿の実(アイデア等の事業化努力)を育て、成功した話しを聞
くと本当に敬服する。
知人のAさんは、勤務先倒産で一年以上失業中の時(当時30歳で
妻子がいた)、父親が亡くなり遺産が500万円入った。この金を生
活費には使わず、夫婦揃って以前から希望していた洋菓子の学校に通
い始めた。苦しい2年間の通学であったが、Aさんはさらに洋菓子店
で8年間修行を積み、夫婦で開業したのである。現在、従業員10人
ほどの洋菓子店を経営しているが、Aさんはむすびを食わず柿の種を
育てた人と思う。
努力には、直接の努力と間接の努力の2種あるそうだ(幸田露伴著
『努力論』初刊自序を参照)。間接の努力は準備の努力で、基礎とな
り源泉となるものである。直接の努力は当面の努力で、その時の問題
だけを解決するものだ。間接の努力が欠けていると、長期的な成果が
得られないようである。