■■ Weekly Fax News 471 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 パートの厚生年金加入 ― 受給額 長い目でみれば得 」
(2)「 石の上にも3年座っていれば 」
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◆「 パートの厚生年金加入 ― 受給額 長い目でみれば得 」◆
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現在、パートの厚生年金加入基準は、労働時間・日数が「正社員の
4分の3以上」です。週30時間以上働くと、一般に加入義務が生じ
ます。法案では「週20時間以上」を基本に、対象を拡大します。た
だ、パートの多い外食・流通業の猛反対に配慮し、「月収9万800
0円以上(残業代などを除く)」「勤務1年以上」「従業員300人
超の企業」などの条件がつけられました。
現在厚生年金の対象にならないパートのうち、自営業者の妻やフリ
ーターなどは、国民年金の「第1号被保険者」として、月々定額(2
007年度は1万4100円)の保険料を支払う義務があります。老
後の給付は基礎年金だけです。厚生年金に加入すれば、月収10万円
の場合、現時点では保険料の自己負担が月7175円(事業主も同額
負担)に減ります。しかも、老後は基礎年金に上乗せして厚生年金を
受け取れます。加入拡大はいいことずくめです。
一方、現行ではサラリーマン世帯のパートの主婦(年収130万円
未満)は、「第3号被保険者」として、保険料を納めなくても老後に
基礎年金を受け取れます。厚生年金に加入すれば、新たに負担が生じ
ます。しかし、老後は厚生年金も受け取れます。厚生労働省の試算に
よると、1965年生まれで月収10万円の人が1年間加入した場合、
保険料の本人負担は計約8.6万円。これに対し、年金額は年630
0円程度増え、予想される平均寿命(90歳)までの総額は約16.
4万円多くなります。負担との差は7.8万円。加入期間が長くなる
ほど、差は大きくなります。健康保険料の負担も生じますが、それも
現行より有利でしょう。
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◆「 石の上にも3年座っていれば 」◆
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「石の上にも3年」という諺の後には、「座っていれば温まる」と
いう言葉が続く。 5年程前、筆者が創業相談に乗った3人がほぼ同
じ時期に、訪問介護の事業を立ち上げた。AさんとBさんは、経験も
長く、人脈も豊富であった。Cさんは、資格はあるものの経験と人脈
にやや不安があった。
Aさんは、豊富な人脈を生かして最初の1年は順調に推移したが、
皮肉なことに舅と姑が長期療養を要する状態になって、事業の継続が
出来なくなってしまった。
Bさんも最初の2年は順調であった。しかし、事業が軌道に乗った
ことで安心したせいか、うっかり友人の営む健康食品販売に参加して
重大なトラブルに巻き込まれてしまった。結局、うつ病になって、介
護事業は3年足らずで廃業してしまった。
Cさんは、事業認可手続きや顧客の確保に苦労して、最初の2年は
採算が厳しい状況であった。今月限りで止めようかと考えたこともあ
る。しかし、家族の励ましや専門家のアドバイスを素直に受け止めて、
徐々に仕事を増やすことが出来た。
結果として、Cさんは今日まで5年間事業を継続している。業界の
慣習にも馴染み、行政や業界団体との付き合いも深まった。まだ小規
模であるが、周辺地域の顧客や関係機関から信頼される事業所になっ
た。