■■ Weekly Fax News 476 ■■
―――― ◆ 目 次 ◆ ―――――――――――――――――――――
(1)「 加入期間25年に達しない ―『カラ期間』算入で救済も 」
(2)「 稗(ひえ)を蒔く 」
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◆「 加入期間25年に達しない ―『カラ期間』算入で救済も 」◆
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老後の公的年金を受け取るには、原則として、公的年金(国民年金、
厚生年金、共済年金)への加入期間が通算で25年以上であることが
要件です。「受給資格期間」と言います。しかし、全国民共通の基礎
年金制度が設けられ、国内の20歳以上60歳未満の人に国民年金へ
の加入が義務づけられたのは、1986年度からです。それ以前は、
サラリーマン世帯の専業主婦などは、加入するかどうか任意でした。
この間に加入しなかったために、加入期間が25年に満たない人は少
なくありません。原則通りなら、無年金の人が続出しています。
このため、こうした人たちが受給資格期間を満たせるようにするた
めの制度が設けられています。「合算対象期間」と言って、基礎年金
の受給額には反映されないけれど、受給資格期間の勘定には加えても
らえる期間です。一般に「カラ期間」と呼ばれます。
代表的なのは、86年3月以前に、サラリーマン世帯の専業主婦が、
国民年金任意加入しなかった期間。例えば、今年4月に60歳になっ
た専業主婦を想定してみましょう。20歳でサラリーマンと結婚して
専業主婦となり、国民年金加入が義務化される前は、未加入だったと
します。加入期間は86年4月(39歳)から60歳になるまでの2
1年間なので、原則通りなら年金は受け取れません。しかし、20歳
から39歳になるまでの19年間はカラ期間なので、これを合わせれ
ば40年間。受給資格期間を満たします。
ただし、カラ期間は、基礎年金の金額には反映されません。従って、
基礎年金額は、40年間加入した場合の満額(2007年度は年額7
9万2100円)の半分程度になります。
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◆「 稗(ひえ)を蒔く 」◆
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天保飢饉の前であった。二宮尊徳(金次郎)は、梅雨から土用にか
けての天候不順を心配していた。空が秋めき、新ナスを食うと秋ナス
の味がするのである。そこで、飢饉に備えて、空き地や木綿畑にあわ・
稗・大豆等の種を蒔かせたと言う。お陰で、尊徳が指導する藩の村々
は、天保飢饉でも飢えることはなかった。(『二宮翁夜話』による)。
個人でも会社でも、不時の出費に備えて蓄えを心掛けなければならな
い。ところが、貯蓄無しの世帯や会社が相当割合存在する。
X社(健康食品の製造販売)のA社長の話である。X社は会長(A
社長の父親)が30年まえに創業して順調に推移し、当時年間売上高
7億円、社員40人であった。同族会社であった為、役員報酬を最大
限取って利益を計上しないようにしてきた。社員に対しても気前が良
かった。したがって、会社の資本はほとんど増えなかった。会長や社
長の金遣いも荒く個人資産は無かった。ところが、扱い商品で健康被
害の事故を起こし、2億円の損害を発生させてしまった。会社にも個
人にも借入金の担保が無く、資金調達が出来ないという。結局、同業
のY社に営業を譲渡して、X社は消えた。不時の出費に備えて毎年稗
を蒔いていれば(内部留保や個人貯蓄)、X社は今日まで堂々と存続
していたと考える。