■■ Weekly Fax News 480 ■■
―――― ◆ 目 次 ◆ ―――――――――――――――――――――
(1)「 ゴルフ会員権の取得価額 ― 預託金債権切捨て後は時価 」
(2)「 楽に成果を上げる? 」
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◆「 ゴルフ会員権の取得価額 ― 預託金債権切捨て後は時価 」◆
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民事再生法に基づく再生計画により、預託金債権の全額が切り捨て
られ、優先的施設利用権だけのゴルフ会員権を取得した場合、その優
先的施設利用権だけのゴルフ会員権の取得価額はその取得時の時価で
ある、とした裁決事例が明らかになった。
請求人は、「所有していた預託金会員制ゴルフ会員権(以下「本件
旧会員権」)に係るゴルフ場の経営法人の民事再生法に基づく再生計
画に従い、本件旧会員権に係る預託金債権の全額が切り捨てられると
ともに付与された預託金債権のないゴルフ場施設の優先的施設利用権
のみのゴルフ会員権(以下「本件新会員権」)を譲渡したが、その譲
渡所得の金額の計算に当たって、本件旧会員権の取得に要した金額か
ら預託金相当額を差し引いた価額を本件新会員権の取得に要した費用」
とすべき旨主張した。それに対して審判所は、本件新会員権における
契約上の地位(資産)は、本件旧会員権における預託金返還請求権を
失ったことによりこれを要素とする契約上の地位(資産)としての同
一性を失っているので、別個の資産というべきである。よって本件新
会員権の譲渡所得の計算に当たって、本件旧会員権の取得価額を引き
継いで計算することはできない。したがって、本件新会員権の取得価
額は、その取得時の時価相当額とすることが相当である、とした。
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◆「 楽に成果を上げる? 」◆
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「まず、問屋廻りをして、商品構成を見直しましょう」「問屋の営
業マンが定期的に来るから、わざわざ遠くへ行くまでもないよ」これ
は、品揃えのマンネリ化で低迷しているA洋品店店主(50歳)との
会話である。
A店は、女性パートを5人ほど使って商店街の中で婦人衣料・肌着
類・服飾品等販売業を45年間営んでいる。創業者は仕事にほとんど
携わらず10年前に一人息子が後を継いだ。現店主は高卒後直ちに家
業を手伝い始めたので他の店舗で働いたことは無い。店主が仕入をし
ているが、長年取引のある問屋は営業マンが商品を卸していく。
近年、A店の売上は下がり、店舗改装やレイアウト変更等を試みた
が、ほとんど効果が無かった。店舗診断の結果、問題は魅力ある商品
戦略の欠如にあると判断し、冒頭のようなアドバイスをした訳である。
ところが、店主の性格(やや内向的)と経歴にもよるが、店主は知ら
ない問屋や同業店を訪問することを嫌う傾向があった。商店街の客層
と品揃えのバランス、競合店との商品差別化等が何ら工夫されず、商
品がマンネリ化していた。慣れている工夫はするが嫌いな仕事はしな
いという姿勢である。仕事にはある程度の苦しみが伴ってこそ、喜び
があるものだ。惰性的に商売を続けて、楽に成果が上がることはない
であろう。