■■ Weekly Fax News 511 ■■
―――― ◆ 目 次 ◆ ―――――――――――――――――――――
(1)「 絶対に大きくなれない会社 ― 技術評価の視点から 」
(2)「 手作り商品の出番 」
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◆「 絶対に大きくなれない会社 ― 技術評価の視点から 」◆
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最近ファンドに関連して企業の技術評価をしている。企業には運不
運もあるので、確実に成長すると断じることは難しいが、大きくなれ
ない会社は分かる。事業計画が書けないからだ。
特に技術系企業の場合、自社技術を活かすということで、シーズオ
リエンティド(技術優先型)で製品を開発し、それを販売することで
企業が成長するとのシナリオがよくある。
しかしこのような企業の事業計画では、往々にして製品と市場の関
連が不明確で、将来にわたる戦略が無く、顧客開拓のスキームに乏し
く、さらに開発投資や人員計画が現状維持的でありながら、なぜか売
上だけが急拡大、ということがある。まして資金を何に投入して、ど
のように回収するかという投資計画が無い。これでは資金が有効に活
用されるとはとうてい思えない。
「これ」を売りたいというだけの目先経営には将来がない。そうでは
なくて自社の理念やドメインを明確に持ち、現在の製品が売れている
間に次の製品展開や人員計画を考え、自社技術の可能性を市場ニー
ズに即して継続的に発展させていくという基本を是非大切にしたいも
のだ。例えば年商1億円であっても確たる根拠に乏しい計画であれば、
それは絵に描いた餅になってしまう。
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◆「 手作り商品の出番 」◆
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全国各地の商店街(又は地域ぐるみ)で「一店逸品運動」が盛んで
ある。これは、個店の優れた商品(もの・技術・サービス)を逸品と
して取り上げ、商店街等がお客様に紹介し、お店を応援していく集団
活動である。
一店逸品運動が注目されるのは、その運営理念と開発理念が小規
模事業の特性に合っているからである。つまり、小規模な商品・サービ
スでもその地域で唯一(オンリーワン)であれば、希少性・珍しさ・高付
加価値等が追求出来るということである。オンリーワン商品によって、
他店(特に大型店)との店舗差別化が進み、店舗訴求力が向上して知
名度が上がるのである。
ところで、小規模店における「逸品」の多くは、手作り商品である。
元々日本には、各地方に特徴のある手作り産物があったが、近年は機
械化等によって多くが廃れてしまった。概して機械化は大量生産大量
販売やコスト低減には対応するが、品質低下や商品を失わせる可能性
がある。
現在、和洋菓子店・婦人服店・豆腐屋・飲食店等々が、特徴のある
手作り商品を店の戦略商品にして繁盛している事例が数多く紹介され
ている。今後、特に小規模店は手作り商品(オンリーワン)の発見に
努め、店舗差別化によって生き残り策を探りたい。