■■ Weekly Fax News 588 ■■
―――― ◆ 目 次 ◆ ―――――――――――――――――――――
(1)「 最低賃金改定、現状維持予定 ―
35県のうち33県が引上げに 」
(2)「 永年の経験を積む人 」
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◆「 最低賃金改定、現状維持予定 ―
35県のうち33県が引上げに 」◆
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既報の通り、長引く不況の影響を受け、厚生労働大臣の諮問機関で
ある中央最低賃金審議会は最低賃金の改定目安を35県で据え置き、
残りの12都道府県で引上げとした。この目安額はあくまでも中央の
決定によるもので、その後、各地方最低賃金審議会が審議を行ない、
最終的な引上げ額が決定することとなる。
厚生労働省の発表によると、2009年度の地域別最低賃金は全国
平均で10円(時給)引き上げられ、平均時給額は713円となった。
前述のように中央最低賃金審議会により現状維持とされた35県のう
ち33県が、地方最低賃金審議会の判断として1円~5円の引上げ額
を提示している。従来、ここまで中央の意見が覆されることはまれな
ことだ。
各地方最低賃金審議会の答申状況をまとめると、結果的に45都道
府県で最低賃金が引き上げられることとなり、東京が最高で791円、
佐賀県、長崎県、宮崎県、沖縄県が最低で629円となり、格差は1
62円に拡大している。
なお、民主党のマニュフェストによると、全国最低賃金を時給80
0円、全国平均で1,000円とすることを目指すとしており、政権
交代の流れの中で最低賃金がどのように引き上げられるか、経営者と
しては注目していく必要があるだろう。
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◆「 永年の経験を積む人 」◆
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山芋堀りは、山芋の蔓を見て芋の善悪を知るという。うなぎ釣りは、
泥土の様子を見てうなぎの居る居ないを知るという。
商売を永年営んでいると多様な経験をするものである。例えば、い
つもの問屋が店に来て「掘り出し物」を奨めて仕入れたところ、飛ぶ
ように売れたというのは稀であり、1ヶ月後には倉庫に眠っていたり
する。また、反対に中小問屋に大商人が仕入に来たので喜んで卸した
ところ、やがて倒産して代金が焦げ付いたりする。経験上、問屋が小
問屋に何度も足を運んで、繰り返し断られているうちに顔なじみにな
り取引が始まったような所は、地味ながら日々取引があって支払も堅
実である。
X社(生活雑貨の輸入卸)のA社長は、「商取引上有効な経験とは、
何度も成功して仕様のコツを体得したものか、何度も痛い目にあって
用心のポイントを承知しているもののどちらか」という。永年、必死
になって経験則を発明しようとしていると、自然に「光る商品」(扱
って良い商品又は取引して良い相手)と「危ない商品」(扱って悪い
商品又は取引相手)が見えてくるという。
商売上役に立つ経験は、人や商品、社会現象等をじっくり観察して
やっと習得できるものである。永年必死に商売を工夫している人は、
役に立つ経験を積んでいる。