■■ Weekly Fax News 590 ■■
―――― ◆ 目 次 ◆ ―――――――――――――――――――――
(1)「 高齢者雇用開発コンテスト ― 入賞企業に3つの共通点 」
(2)「 人を嗤(わら)う人間になるな 」
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◆「 高齢者雇用開発コンテスト ― 入賞企業に3つの共通点 」◆
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優秀な人材確保が難しい中小企業にとって、高齢者が培ってきた能
力・経験を活用することは大きな経営課題だ。厚生労働省等が実施し
た「高齢者雇用開発コンテスト」の入賞企業の取り組み内容を見ると、
3つの共通する取り組みが見えてきた。
まず初めに、社内研修の講師となったり、若年者とペアを組んだり
して、経験や技術の伝承を目的に活発なコミュニケーションが図れる
仕組みを取り入れていることがあげられる。様々なノウハウの伝承と
いうだけでなく、高齢者にとっても必要とされているというモチベー
ションの向上にも効果があると思われる。
次に、仕事の仕組みや流れを見直して高齢者に負担の少ない職場環
境を構築している点がある。製品容器を小型化したり、各自にPHS
を支給し無駄な動線を削減したりすることで業務そのものの効率化に
つながっている点に注目すべきである。
そして最後に、体調や家庭の事情などに配慮して柔軟な勤務シフト
を用意している点があげられる。働ける時に、働けるだけという柔軟
な体制が高齢者の継続的な勤務を可能としている。
このように見てみると、高齢者が働き続けられる職場とは、ただ高
齢者の雇用だけでなく、仕事の効率化、優秀な人材の確保という点で
多くのヒントを与えてくれる。
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◆「 人を嗤(わら)う人間になるな 」◆
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最近、「人に嗤(わら)われても、人を嗤う人間になるな」という
言葉に遇った。
これは桶谷秀昭著『人間を磨く』(新潮社)に引用されていたもの
で、元々は小説家森田草平(夏目漱石の弟子、『煤煙』という小説を
書いた)の言葉とのことである。大変意義深い文言と感じた。
人が新しい商売に取り組んだり、人のやらない分野に挑戦したりす
れば、困難の壁に突き当たったり、時には大失敗(大きな損失や倒産
等)をしたりすることが珍しくない。何かの分野に挑戦し、たとえ小
さな成功でも達成しようと思えば、この失敗を恐れる気持ちが最大の
敵かもしれない。よく身近な人から言われる、「そんなことをしたら
人から嗤われるぞ」という教訓が、消極的な生き方に陥らせてしまう
かもしれない。
もっと積極的に考えれば、意欲的に新しい商売等に取り組むような
場合は、「人に嗤われる」ことを恐れるよりも、「人を嗤う人間にな
らない」ことを心掛ける方が大事だ。
私たちは、新しい商売に挑戦したり、真剣に転職したりするような
人間の姿勢(人から嗤われることを恐れない決意)を賛美しようでは
ないか。そのような人が失敗するのを見て嗤うことによって安心した
りすることは、少なくとも自己の進歩に何の価値もない。怖いのは、
人を嗤うことだ。