■■ Weekly Fax News 598 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 中小企業金融円滑化法案―「返済猶予」1割が検討 」
(2)「 戦略的な生き方 」
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◆「 中小企業金融円滑化法案―「返済猶予」1割が検討 」◆
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政府が閣議決定した「中小企業金融円滑化法案(仮称)」(以下、
返済猶予法案)が成立した場合、企業の1割が申請を「検討する」こ
とが、帝国データバンクの調査で分かった。
政府は、中小企業向け融資の返済猶予などを柱とする「返済猶予法
案」を10月30日に閣議決定し、臨時国会での成立を目指している。
帝国データバンクでは、全国2万1,491社を対象に、本年10月
21日~31日に同法案に関する調査を実施した。有効回答企業数は
1万742社(回答率50.0%)。返済猶予法案の賛否に対する回
答は、「賛成」が25.5%、「反対」が38.3%であり、企業規
模が小さいほど賛成が多かった。「リスケジューリングの制度的保証
であり、銀行にとっても損ではない」と賛成する声がある一方、「前
向きな資金を必要とする企業への融資資金が硬直化する」など、本来
必要とする新規融資が阻害される懸念も聞かれた。
また、法案が成立した場合に返済猶予申請を検討するかどうかにつ
いては、11.1%が検討すると回答。「検討する」理由としては、
「借り換えが非常に難しい」などのほか、「法案成立によって新規貸
し出しに影響が出る」、「返済猶予によって起きる貸し渋り対策のた
めに、返済猶予を申請する」など法案成立後の事態を想定した声もあ
った。
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◆「 戦略的な生き方 」◆
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吉村昭著『冬の鷹』(新潮文庫より)に、次のような場面がある。
『解体新書』(原作はターヘル・アナトミア)を翻訳中の杉田玄白と
中川淳庵の会話で、淳庵が玄白に対して平賀源内も翻訳の仲間に入れ
たらどうかという提案に対しての、玄白の返事である。
すなわち、「源内殿は稀にみるあふれるような才にめぐまれたお方
です。が、その才能が逆に源内殿の欠点にもなっております。源内殿
は、多くのものに異常な好奇心をいだき吸収しようとつとめる。一言
にして言えば、あわただしきお人でござる」と。
才能が欠点とは、能力(会社であれば経営資源)が多岐に分散して
いるということであろう。学者は特定の分野に能力を集中しているか
ら人から高い評価を受け、誰もできないような研究や発明も可能であ
る。玄白は、源内の能力の使い方には戦略が無いということを言いた
かったのである。
会社の経営或いは人の生き方等に戦略がないと、以下のような危惧
がある。
1)将来の展望や方針が明確にならない。
2)時間、経費等の資源に無駄が発生する。
3)他人の評価が定まらず差別化されない。
4)エネルギーが一箇所に集中しないので、全てが中途半端に終わる
可能性がある。
5)総合的には上位であっても、特定分野のトップリーダーに就けな
い。