■■ Weekly Fax News 714 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 特定支出控除の見直し ― 政令で詳細明らかに 」
(2)「 一歩譲る 」
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◆「 特定支出控除の見直し ― 政令で詳細明らかに 」◆
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平成24年度税制改正において特定支出控除における特定支出の範
囲拡大と特定支出控除の適用判定の基準が見直された。特定支出の範
囲拡大については以下が追加される。
(1)特定支出の範囲から除外されていた弁護士、公認会計士、税理
士などの資格の取得費
(2)職務と関連のある書籍の購入費、職場で着用する衣服の衣服費、
職務に通常必要な交際費及び職業上の団体の経費(「勤務必要
経費」)。
ただし65万円が上限となっている。
特定支出控除の適用判定・計算方法の見直しに関しては、その年の
特定支出の額の合計が、次に掲げる金額を超える場合、その金額を給
与所得控除額に加算できる。(1)その年中の給与等の収入金額が1,
500万円以下の場合:その年中の給与所得控除額の2分の1に相当
する金額(2)その年中の給与等の収入金額が1,500万円を超え
る場合:125万円。
このほど公布された政省令(官報3月31日・号外)では、職務に
関連する書籍、新聞、雑誌その他定期刊行物、勤務先で着用すること
が必要とされる衣服、職務の遂行に直接必要な接待、供応、贈答、こ
れに類する行為への支出が追加対象となる。サラリーマンのスーツ代
も会社の証明があれば特定支出になる見込みが高い。
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◆「 一歩譲る 」◆
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日頃の交際や商取引等は、お互いが相手に譲る気持ちを持って成り
立っている。自己の言い分だけでなく、相手の主張を理解しようとす
る気遣いと言ってよい。例えば、民事紛争の多くが任意の協議や裁判
所の調停等で解決しているが、日本の社会制度全般が相手に譲る精神
を基盤にしている。ところで、他人に一歩譲ることは、自信の無い交
渉における弱腰と排斥される事がある。しかし、実は一歩譲ることは、
後に大きく前進する伏線になるものである。
家族経営のA電器店は、店主が週2回決まった曜日と時間帯に商圏
内を車で巡回する。お得意様を中心に声が掛かり、家電品の修理や電
球交換等多種の依頼を受けるが、部品代以外は無料である。車両・燃
料費等の諸経費を考えると赤字であるが、商圏の人々に店舗名や店舗
のサービスレベルが理解され、効果的な広告宣伝にもなる。また、商
品価格は大型店に負けるが、中高年者を中心にA電器店の商品を購入
する人が増えている。お客様も自分の利益を譲って、価格の高低より
も後日A店の巡回サービスが受けられるという期待を優先する。いつ
の時代も高慢や独り善がりで商売が繁盛したことがない。譲る精神が
慶福を呼ぶ。