■■ Weekly Fax News 738 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 相続時精算課税制度とは 」
(2)「 高齢者による創業 」
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◆「 相続時精算課税制度とは 」◆
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通常年間で110万円を超える財産を贈与すると、贈与された者に
贈与税がかかります。しかし、「相続時精算課税制度」を利用すると、
2500万円までの財産の贈与については贈与税はかかりません(2
500万円を超えると、超える部分につき20%の税率)
この財産については、相続があったときに相続財産に加えて相続税
を計算することになっています。贈与した「現在」に贈与税を支払う
のではなく、「将来」相続があったときに相続税を支払うという仕組
みです。もし、相続が発生しても、課税遺産総額が相続税の基礎控除
以下の場合は、「現在」も「将来」も税金を負担することはありませ
ん。この制度の適用により、相続を待たずとも、贈与税の負担無く、
資産を特定の子に渡したいときに渡せるようになります。
ただし、この制度の適用を受けるためには、65歳以上の親から2
0歳以上の子への贈与であること(子供が亡くなっているときは20
歳以上の孫を含みます)、贈与税の申告が必要であること等条件があ
りますので注意してください。なお、住宅取得資金の贈与の場合、親
の年齢は関係ありません。また、一度この制度を選択すると、同一の
贈与者からのその後のすべての贈与について、暦年課税による110
万円控除の適用を受けることはできなくなります。さらに、遺産の前
渡しであるため、このことで他の相続人との間で将来遺留分の侵害と
いう問題も発生する恐れがありますので、事前に十分検討してくだい。
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◆「 高齢者による創業 」◆
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団塊世代の定年退職がピークを過ぎたようだが、この世代の人々に
よって創業が増えたという声を聞かない。元々、60代70代の創業
が盛んという話は聞かないから、段階の世代も同様なのかもしれない。
そもそも高齢者(公的基準で65歳以上)に活発な創業を期待する
ことは無理なのか。また、国や自治体としては高齢者の創業を奨励す
る意欲は低いのか。筆者の知人A氏は親が創業した鮮魚店を継いで6
8歳の時に従業員の店長に営業権を譲り、店員5人を雇う居酒屋を創
業した。鮮魚店は家業の後継者として経営してきたが、いつか飲食業
(扱い慣れた魚中心の店)の経営をすることを夢見ていた。利益には
あまり拘らず、客や店員との交流を楽しみに働いている。日本の高齢
化率は年々上昇している(2005年20.2%、2030年予想31.8%)。
高齢者本人の生きがいはもちろん、雇用の創出、技術や経営ノウハウ
の伝承等のためにも、高齢者の創業支援に力を注いでいただきたい。
現在、日本政策金融公庫のシニア起業家資金等の金融支援はある
が、高齢者特化の経営指導や共同体活動支援のような面を強化し
たいものだ。さらに、高齢者福祉は一方的なサービス提供だけで
はなく、高齢者が社会経済に貢献できるような仕組みを作ることも大
切である。