■■ Weekly Fax News 743 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 行方に注視が必要 ― 厚生年金基金 」
(2)「 『漁夫の利』に負けるな 」
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◆「 行方に注視が必要 ― 厚生年金基金 」◆
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投資顧問会社による不正な投資により、巨額な資金が消失した厚生
年金基金が続出した。従来から財務上の問題点を指摘されてきた厚生
年金制度は、いよいよ大きな転換点を迎えているようだ。
財務上の補填に伴う資金発生に耐えうる大手企業の厚生年金基金は
解散が進んでいるが、母体企業が中小企業である基金については、多
くの問題を抱えたまま存続している基金も少なくない。赤字基金の場
合、現行制度では母体企業の負債となるため、巨額の資金負担が発生
することも懸念されている。厚生労働省では、厚生年金基金制度の廃
止の検討を進めているが、現状の案は赤字基金が解散した場合の負債
を厚生年金本体の資産で穴埋めするというものだ。厚生年金基金にま
ったく関係のない中小企業の会社員などの保険料からの穴埋めについ
ては、異論が噴出している。
また、基金が解散してしまった場合、現在年金を受給している人の
受給権の行方や、間もなく受給可能な時期が到来する人はどうなるの
かなど、問題が山積している。
もっと早くに厚生年金基金制度について対応すべきだったにも関わ
らず、ずっと放置してきた国の怠慢や責任について厳しく問う声もあ
がる中、どのような解決策を採用するのか注目される。
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◆「 『漁夫の利』に負けるな 」◆
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新しい業種業態(最近50年間では、スーパー・コンビニ・ドラッグ
ストア・ホームセンター・カラオケボックス・外食チェーン等)が成
長期から成熟期に移る頃、よく見られる経済現象がある。例えば、商
圏人口30万人くらいの地域で、2つ以上の中小ドラッグストアチェ
ーンが出店競争や価格競争等をしている所に大手チェーンが乗り込ん
で両チェーンを飲み込んでしまう(吸収合併)というようなものだ。
このような現象は、古来「漁夫の利」として有名である。ハマグリと
シギが意地を張って海辺で争っている時に、通りかかった漁師(第三
者)に両方とも獲られてしまったと言う話だ(出典:中国の古典『戦
国策』)。このような現象は、会社の人事にも珍しくない。例えば、
ある部署に3人の社員がいて、AとBが営業成果や企画提案の優劣等
で張り合っていたとする。お互いライバルとして頑張ることは問題な
いが、本来の目的を忘れて嫉妬や中傷合戦になって抗争になってしま
うことがある。このような時に、AとBの争いに参加しなかった冷静
なCが管理職として抜擢されることがある。商売は競争をして勝ち残
りを目指すが、目先の競争に意地を張って双方の経営力を弱らせ、第
三者(漁夫の利)の攻勢に陥落してしまうことに注意すべきだ。