■■ Weekly Fax News 755 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 給与増額税制措置で給与は上がるか 」
(2)「 将来身につけるべき技 」
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◆「 給与増額税制措置で給与は上がるか 」◆
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平成25年度税制改正大綱において、「企業による雇用・労働分配
(給与等支給)を拡大するための税制措置」が創設された。これは、
青色申告書を提出する法人が、平成25年4月1日から平成28年3
月31日までの間に開始する各事業年度において支払う給与の額が5
%以上増加した場合に、増加した額の10%(中小企業は20%を法
人税額から控除できるという制度だ。その期の決算が黒字でなければ
効力はない。
一方、厚生労働省が発表した直近(平成24年11月確報)の月間
現金給与額を見ると、現金給与額は全産業平均で前年比0.8%減
(従業員30人以上の規模では1.6%減)となっている。産業別に
見ると、前年比増は「生活関連サービス等」、「運輸・郵便業」等の
6産業にとどまっている。就業形態別では、一般労働者は0.5%減
(同1.5%減)、パート労働者は2.1%増(同1.9%増)だ。
平成24年通期では、全産業平均で前年比増となったのは2月~5月
だけで、6月以降前年比減が続いている。
前述したように、創設される減税措置は赤字企業には効果がない。
4月以降、現金給与額の動向がどのようになるのかで、本減税措置の
意味が問われることになるだろう。
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◆「 将来身につけるべき技 」◆
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能の世界には、年齢に応じて過去に身につけた花(技芸)と、将来
身につけるべき花があるそうだ(世阿弥『風婆花伝』岩波文庫には、
「年々去来の花を忘るべからず」とある)。弁護士や税理士等の士業
が気をつけるべきことの一つに、資格を取った時の基本的知識を維持
しつつ、その後の社会的変化による新知識の習得がある。医師・教師・
技術者等も同様で、過去身につけた知識・技術を維持しつつ、その後
は年齢や社会的変化に応じて新しい知識・技術を身につけて行くべき
ということである。
事業承継対策を例にすれば、30年前頃までは弁護士や税理士等の
資格取得に際しての事業承継の学習は、特定分野に限定されていたの
ではなかろうか(司法試験における民法・相続編、税理士試験におけ
る相続税法等)。このような基本的知識は重要であるが、現在のよう
な事業承継に関する対策ノウハウは、「将来身につけるべき技」とし
て、資格取得後に各人の努力で学習、実務を経験しながら獲得したの
であろう。
当然ながら工場・飲食店・販売店等で働く者も、学生時代や新入社
員時代に身につけた知識・技術だけに拘っていてはいけない。職業人
は、各人の年齢とともに社会的変化に対応する技を身につけ、新しい
業務と新しい技に精通しなければならない。