■■ Weekly Fax News 800 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 突然出社しなくなったアルバイトの給与 」
(2)「 鋸(のこぎり)商い 」
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◆「 突然出社しなくなったアルバイトの給与 」◆
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ツイッターなどへの無秩序な投稿により企業にダメージを与える労
働者が増えている。少し考えればやっていいことかどうかの判断くら
いつきそうなものだが、それでも自己顕示欲を抑えきれないのか、そ
のような事例は枚挙にいとまがない。
経営者や現場の労務管理者にとって、もっと基本的な問題として悩
ましいのが、ある日突然無断で出社しなくなるアルバイトの存在だ。
いきなり解雇するわけにもいかず、何度か連絡をとってみても一向に
電話がつながらない。当面、現有の従業員で対応するものの、今度は
それらの者の労働が加重となる。
新たに求人を出す手間やコスト、無断欠勤で生じた損失を考えると、
突然出社しなくなったアルバイトに満額の給与を払うのは業腹という
経営者も少なくない。しかし、それでも給与から損失を勝手に控除し
て支払うことはできない。仮に経営者が想定した損失額を控除して給
与を振り込もうものなら、無断退職したそのアルバイトは、自分の落
ち度は棚に上げてほぼ確実に労働基準監督署に駆け込む。労基署の結
論としても全額振り込んで下さい以外にはない。給与の支払とその労
働者によって生じた損失の賠償請求は残念ながら別物であると理解し
ておく必要がある。
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◆「 鋸(のこぎり)商い 」◆
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江戸時代、近江商人等の商法に、「鋸商い」があった。大阪や近江で
仕入れた産物を持って江戸に行き、売った代金で仕入をして京都や大
阪で売るという、鋸のように往復稼ぐ商売であった。この工夫をしな
い場合に比べて、時間と資金を2倍に活用出来る。また、海運業者等
が行きと帰りに別々の荷物を引受けて運ぶ等も同じ商法である。鋸商
いは、現代でも宅配業・運送業・海運業等で活用されているが、広く
解釈すれば活用モデルを多く発見することが出来る。例えば、中古車
販売や古本・宝飾品・時計・バッグ等リサイクルショップである。顧
客からの買取りによって儲け(市場での卸や業者間敢引)、顧客への
販売によって儲けられる。運が良ければ、商品を売りに来た顧客が別
の商品を買うかもしれない。業者側の移動が必要無い分、本来の鋸商
いよりも効率が良いと言える。また、銀行等も同様で、顧客からお金
を預かって、証券や事業に投資したり、同じ顧客にお金を貸したりし
て多種多様なルートで収益を上げている。商売の理想は、追加の経費
や時間を出来るだけ少なくして収益を増やすことである。安易な事業
多角化とは異なり、鋸商いは多角化ではなく本業サービスの新規創造
と効率化(人材・人脈・技術・時間・資金等)をシステムとして活用
するものである。