■■ Weekly Fax News 358 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 どうなる有限会社 ― 会社法で株式会社に一元化 」
(2)「 枝葉を切り捨てる 」
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◆ 「 どうなる有限会社 ― 会社法で株式会社に一元化 」 ◆
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商法改正の総仕上げとされている「会社法」の要綱案によって、「
有限会社」が株式会社に一本化されることが大々的に報道され、有限
会社の名称が消えるといわれているが、既存の有限会社は、会社法成
立以後も当分の間は、そのままの名称で活動が出来る見通しだ。現在、
有限会社は全国に約185万社が存在している。昨年末にまとまった
会社法要綱案で、有限会社を株式会社に一本化する案が浮上し、これ
ら既存の有限会社に衝撃が走った。要綱案は、「現行の株式会社と有
限会社の両会社類型について、これらを統合し、一つの会社類型(株
式会社)として規律するものとする」としているからである。この場
合、現在の有限会社はどのようにすればよいか。現行法において、有
限会社の社員は、有限責任が保証されている。また、取締役は1名で
も認められ、監査役の設置も義務付けられていない。このような有限
会社が新しい会社法制化で、同じような機能を持つ組織として存続す
るには、「譲渡制限付きの株式会社」に移行することになる。しかし、
そのような移行は面倒とする既存の有限会社について、会社法要綱案
は、「現行の有限会社法に基づき設立された有限会社については、会
社法施行後も引き続き、従前の規律を維持するための所要の経過措置
を設けるものとする」としている。
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◆ 「 枝葉を切り捨てる 」 ◆
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樹木を植え替える時は多くの根を伐るものだが、必ず枝葉も伐り捨
てなければならない。根が少なくなって水を吸う力が落ち、枝葉を養
う力が無くなっているからだ。このようにしないと、樹木は枯れてし
まう。
企業の再構築(リストラ)も同様な原則が当てはまる。A酒類卸会
社(従業員25人)は、長期の業績悪化によりリストラを開始した。
人員の大幅削減、不採算取引先の見直し、物流コスト等経費削減を大
胆に実行した。しかし、経費の圧縮以上に売上が落ち込み、ますます
採算性が厳しくなった。
公的経営診断の要請を受けたので会社訪問したところ、経営改善が
進まない理由が見えてきた。一言でいうと、経営陣の意識改革が全く
出来ていないのである。役員6人の各報酬がそのままであり、特に監
査役(社長の母、85歳)に常勤取締役と同じ報酬を払っていた。ま
た、社長所有の土地と社屋を月120万円以上の地代家賃で借りてお
り、この金額は会社の赤字に近い。
経営陣は、会社建て直しに必死に取り組んでいることを従業員や取
引先に説明するが、その努力に心服して協力する者はほとんどいない。
従業員や取引先に犠牲を強いるのみで、経営陣の待遇水準を縮減して
いないからである。根が少ないのに枝葉が茂っていれば、やがて樹木
は枯れるものだ。