■■ Weekly Fax News 406 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 配送における大雪リスク 」
(2)「 長期の修行は無価値か? 」
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◆ 「 配送における大雪リスク 」 ◆
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今年の冬は日本海側を中心に大雪になっている。大雪による生活の
困難さは、当事者でなければよく分からないであろう。
筆者の関与先に、病院や介護施設に食材を日々供給している食品問
屋がある。納期が厳しいため、日常の配送では主に交通事故や渋滞に
神経を使う。ところが、この冬はそれに加えて首都圏であっても大雪
に対する備えを真剣に考えている。衛生面と効率面を考えて手持ち在
庫が少ないため、数時間の納品遅れが給食施設に大混乱を引き起こす
可能性があるからである。
これまでのリスク管理マニュアル(又はクレーム処理マニュアル)
の中には、大雪による納品トラブル対策のことを明確に扱っていなか
った。泥縄式であるが、雪国の事業者はどのようにして納期トラブル
を大雪から守っているのかを参考にして現在準備を進めている。さら
に、これを機会に大地震・台風など自然災害リスクの対策マニュアル
を整備することにした。
近年、大手業者を中心に大地震の際の商品供給対策は進められてい
るが、首都圏では大雪に対するリスク管理は余り関心が無いようだ。
しかし、今冬のような気温の場合は油断禁物ではなかろうか。首都圏
では大雪に対する日頃の備えが薄いため、配送等に思わぬ混乱を招く
恐れが大いにある。
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◆ 「 長期の修行は無価値か? 」 ◆
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池波正太郎の小説『辻斬り』に、こんな場面がある。剣術道場に来
て「せめて10日のうちに強くなりたい」と言う入門希望者に対して
言った、剣術家のセリフである。
「……剣術というものは、一所懸命にやって先ず10年。それほど
にやらぬとおれは強いという自信にはなれぬ。10年やって、さらに
また10年やると、今度は相手の強さがわかってくる……。」
職場において年功序列が崩れたためか、仕事の習得に余り時間をか
けなくなった。例えば、かつて大工・美容師・調理師・自動車整備工
等の修業期間は10年がかりがあたり前であったが、今は専門学校を
出て数年の勤務で独立や転職をする人が多い。開業相談等を受けてい
ても、職務経験2,3年未満の開業希望者が珍しくない。
先日相談に来た若者は、調理経験2年で割烹料理の店を始めたいと
言う。相続によってかなりの資産を持っているとのことである。「腕
には自信があるから、開業手続だけ教えてくれ」とのこと。店舗運営
の要領を含めてあと何年か修行したらどうかと奨めたが、「時間の無
駄だ」と一蹴された。
冒頭の小説のセリフは続く。「……それからまた、10年やるとな
……30年もやると、今度は、おのれがいかに弱いかということがわ
かる。……」