■■ Weekly Fax News 506 ■■
―――― ◆ 目 次 ◆ ―――――――――――――――――――――
(1)「『年金特例法』の救済範囲は 」
(2)「 不安を踏み台にする 」
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◆「『年金特例法』の救済範囲は 」◆
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特例法は、「年金記録漏れ」問題を受けて政府が打ち出した緊急対
策の一つで、平成19年7月に施行されました。
社会保険庁の記録ミスにより、年金保険料の納付記録が訂正された
際、支給される年金については、5年間の時効を例外的に適用しない
というものです。具体的なケースで見てみましょう。
60歳から年金を受給している人で、社保庁のミスで行方不明にな
っていた年金記録が、71歳で見つかった場合を考えてみます。特例
法が施行される前は、71歳から66歳までの過去5年分しか受け取
れませんでした。60歳の受給開始時から66歳までに本来受け取れ
るはずだった分は、5年という時効により消滅してしまっていたため
です。しかし、特例法の施行後は、この消滅した部分も受け取れるよ
うになりました。社保庁のミスを理由に年金記録が訂正され、年金の
受給資格要件(原則25年)を満たすことが分かった場合も同様です。
ただし、特例法はあくまでも社保庁のミスにより長年不明になって
いた年金記録が見つかった人が対象です。社保庁に記録が保管されて
いるのに、受給請求を忘れ、その分の年金をもらえなかった人は、特
例法の対象外ですので注意しましょう。
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◆「 不安を踏み台にする 」◆
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「子供があとを継ぐかどうか不安ですよ」レストランチェーン(5
店舗、従業員40人)を経営するX社長は、面談中に時々つぶやく。
しかも、新店舗を出すような場合はより不安が強まるようだ。現在X
社長には大学1年と高校1年の息子がいるが、家族や親族は事業に全
く従事していない。また、人事・経理事務・食材仕入等の仕事は、友
人のY専務が20年近く担当している。
中期経営計画(3年)を立て、決算期事に見直し更新している。業
績は良い。しかし、業績が上がるほど、将来への不安が募ると言う。
「突然、自分が病気になったら会社はどうなる」「黒字経営というが、
売上に比例して借金が増えている」「Y専務が退職したら、会社を支
障なく運営出来るのか」等等。
筆者は、次のような、助言をしている。「世の中は全て不安定だか
らこそ、少しでも安定させる努力を続けるものです。今の不安を受け
入れて、今から会社の組織や財務状態を良くする工夫をしましょうよ」
「息子さんが継ぐかどうか分からないが、会社をしっかり運営してい
ればその可能性が大きいと思います。万一、身内が継がない場合は、
良い会社は第三者が継ぎます」
不安は、それを従順に受け入れ、尚且つ不安を踏み台にするくらい
の意欲を持ってこそ安心を得られるのではなかろうか。