■■ Weekly Fax News 526 ■■
―――― ◆ 目 次 ◆ ―――――――――――――――――――――
(1)「 税務調査の傾向 ― 建設業外注費の実態に注目 」
(2)「 機会を発掘する 」
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◆「 税務調査の傾向 ― 建設業外注費の実態に注目 」◆
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最近、建設業の税務調査では特に外注費の実態が問題となっている。
実態は社員なのに、契約書や会計処理、社会保険手続、源泉所得税な
どは外注として処理している場合があるからだ。社員と外注の違いを
簡単に説明すると、社員は会社と「雇用契約」を結び、給与総額に通
勤費が加算され、社会保険料や源泉所得税等を控除のうえ支給される
ことが一般的であり、仕事も会社の指揮監督下におかれ管理される。
一方、外注は「請負契約」に基づき仕事を行ない、その出来高に応じ
て代金+消費税の請求書を発行し、請求額の受取り、領収書の発行が
なされる。また、賞与や住宅手当、有給休暇など、社員であれば支給
される手当等も行われない。さらに、通常使用者からの指揮監督もな
い。そして所得税は自ら確定申告をして納税することになる。このよ
うな両者の実態を無視し、実態は社員なのに外注として処理をした結
果、会社は実際には負担してもいない消費税をあたかも負担したかの
ように偽装し、納税額を低く抑える脱税手口がでてくるのだ。当然、
社会保険料等の支払もおこなわれない。
ここに税務署は関心を集める。税務署は、外注と社員との違いを雇
用契約か請負契約という形式だけでなく、その実態で判断してくる傾
向が強い。注意しよう。
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◆「 機会を発掘する 」◆
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誰にも一生に数回の好機(チャンス)が訪れるという。商売運、出
世運、恋愛運、くじ運等と呼んで、偶然の巡り合わせによって舞い込
むものと思っている人も多い。
西郷隆盛は、次のように機会は自分で作り出すものと考えていた
(内村鑑三著・鈴木範久訳『代表的日本人』岩波文庫より引用)。
「機会には二種ある。求めずに訪れる機会と我々の作る機会とである。
世間でふつうにいう機会は前者で在る。しかし真の機会は、時勢に応
じ理にかなって我々の行動するときに訪れるものである。大事なとき
には、機会は我々が作り出さなければならない」
X社は、地方の醤油メーカー(江戸時代に創業)であるが、製品の
差別化競争と付加価値の低下に苦しんでいた。こんな時、後継者が立
地特性(観光地)と工場敷地の余裕に目を付けて、特徴のある建築建
物で喫茶レストラン(ギャラリーを併設)を設けた。この時期が市の観
光政策強化と一致し、周辺市町村から観光客が大勢来るようになった。
結果、会社の知名度が上がって醤油の製品差別化が進み、ギャラリ
ーの文化活動が活発になって、付加価値の向上も図れた。
X社が時流による機会を待っていたら、おそらく取り残されたであ
ろう。消費者から注目される資源を発掘した成果である。