■■ Weekly Fax News 528 ■■
―――― ◆ 目 次 ◆ ―――――――――――――――――――――
(1)「 倒産増加・融資低下 ― 不動産・建築業停滞鮮明に 」
(2)「 目に付かない所を観察する 」
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◆「 倒産増加・融資低下 ― 不動産・建築業停滞鮮明に 」◆
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改正建築基準法の施行から6月で1年が経過する。2007年9月
には新設住宅着工戸数(全国)が前年同月比40%以上の大幅なダウ
ンとなり、倒産に至る企業が多く発生している。帝国データバンクの
調査によると、昨年10月から2008年5月までの8ヵ月間の関連
倒産件数の累計は81件で、負債総額は1,174億7,300万円
となった。2月以降は毎月10件以上発生し、増加傾向にある。(神
奈川県11件、東京都9件、北海道7件)
また東京商工リサーチでは、銀行117行を対象に、2008年3月期
単独決算ベースの不動産業および建設業向けの国内貸出金残高を
調査した。不動産業向け貸出金残高は、前年同期比0.6%増の約4
9兆1,150億円となった。これは総貸出金残高の増加率の伸びを
下回っており平均貸出比率は12.0%だった。
建設業向け貸出金残高は、前年同期比3.7%減の約14兆6,7
00億円となり、79行で貸出金残高を減らした。平均貸出比率は、
前年同期比0.2ポイント低下の3.5%だった。本店所在地で全国10
地区に分けた地区別でみると、建設業向けの貸出金残高は、9地区
で前年同期比を下回った。建設業に対する銀行の融資姿勢は、公共
事業削減を背景に貸し倒れ懸念もあって査定の厳格化がうかがえる。
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◆「 目に付かない所を観察する 」◆
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現代の医療は、病気が予想される箇所を主として器械で検査して診
断しているが、従来の医療は顔色(目・鼻・耳・口・舌を含めて)や手足爪
の状態等を総合的に観察して疾患箇所を探したと言う。内臓等を調べる
ことが、表の観察とすれば、顔色や手足爪の状態等のそれは裏の観察
と言える。
建材卸会社を営むAさんは、20年前の大失敗を教訓に、人(会社)
の目立つ部分(表)よりも目に付かない所(裏)を観察するようにしてい
る。Aさんは羽振りのよさそうな社屋にまどわされ、倒産間際の会社と
大きな取引を開始して痛い目に遭ったことがある。
新規取引は、一般に目に付く所を観察して判断しがちである。例えば
社屋が立派だ、経営者や社員が高級品を身に付けている、経営者が
高級車に乗っている、応接室に有名人の写真が掛かっている、等であ
る。
Aさんは取引先には出来るだけこちらから出向き、玄関や応接室よ
りもトイレや裏庭等を観察するようにした。上役の服装や表情よりも、
一般社員の表情や動作(礼儀や気力等)をしっかり観察するように努
力している。トイレや裏庭等、普段目に付かない所の清掃が行き届い
ている会社が傾く可能性は低いと確信している。また、一般社員が出
会った来客者に挨拶している会社は、健全な経営をしていると判断し
ている。