■■ Weekly Fax News 529 ■■
―――― ◆ 目 次 ◆ ―――――――――――――――――――――
(1)「 新事業失敗の責任はどこに ― 挑戦という美名の裏の本音 」
(2)「 職場環境と集中力の発揮 」
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◆「 新事業失敗の責任はどこに ― 挑戦という美名の裏の本音 」◆
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新事業が成功する確率は、残念ながら余り高くない。リスクがある
のがチャレンジなので、当たり前と言ってしまえばそれまでだが、事
業であるからには博打ではなく、しっかりとした成功へのシナリオが
あってしかるべきだ。またどこかにセイフティネットを備える必要も
ある。いまだに日本では再チャレンジが難しいので、なるべく深い傷
はさけたい。
さて、いろいろな失敗事例をみていると、ちょっと気になるケース
が散見される。社内の新事業部隊という場合もあり、子会社という場
合もあるが、新事業立上組織が作られる。その責任者やスタッフはも
ちろん懸命に努力する。しかしどうも経営者の関心が薄いように思え
ることがある。資金投入や、人的な援助が不十分で、新事業の技術的
な核が陳腐だったり、事業計画が希薄だったりする。とにかく独立さ
せた、という具合だ。従って早期に行き詰まってしまう。そして精算
となり、その責任は新事業の責任者が負う。しかしこれって、体の良
いリストラではないだろうか。経営者にとって、もちろん新事業が成
功すれば良いが、不成功の場合も軽量化ができるので、どちらに転ん
でも損はない。いい加減な新事業への挑戦は、もっと経営者の責任を
論じるべきではないだろうか。
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◆「 職場環境と集中力の発揮 」◆
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ある事業所向け食器販売会社の一例である。この会社の事務所は従
来は雑然としていたので、社長の一存により内装や照明・備品を徹底
的に整え、同時に厳格な職務手順や時間配分に関する基準を作成した。
ところが、営業マン全体から、事務所が整然として落ち着かないと
か、時間配分や仕事の手順が厳格で仕事に集中できなくなったという
不満がでるようになった。また、自由時間に余裕がなくなり、社員同
士のコミュニケーションが少なくなったとも言う。
一番困ったことは、仕事の優先順位を勝手に決められなくなったこ
とである。営業から戻った時、直ちに報告書を作成して上司に提出す
るので、一息つく余裕が無い。また、仕事の途中であっても、時間配
分の基準で仕事を中断せざるを得なくなった。
職場環境は静かで整然としていれば理想という訳ではない。特に集
中力は、電車の中や喫茶店でも読書等が可能なように、ある程度の雑
音を気にしながら続けるほうが長続きする。雑音が一切無い環境にい
れば、心が集中するとは限らない。むしろ仕事への飽きが早く、気力
が落ちるようだ。
また、時には仕事手順の例外を認めたり、途中で仕事の種類を変え
たり、複数の仕事を同時に進めたりする方が集中力が発揮できる場合
も多いのである。