■■ Weekly Fax News 531 ■■
―――― ◆ 目 次 ◆ ―――――――――――――――――――――
(1)「 経理の不正防止と内部統制の整備 」
(2)「 その戦い、勝ち目はあるか 」
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◆「 経理の不正防止と内部統制の整備 」◆
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以前、A社の税務調査で経理担当者の不正が発覚した。着服してい
た売上金が計上もれと判断され、税務調査時から行方不明となった経
理担当者への長期貸付金として受入れ、貸借対照表に計上するよう指
導を受けた。一歩踏み込んだ確認作業が出来ていれば未然に防止でき
た事件であった。思い出すままに不正に走った経理担当者について気
付いた点を列挙してみる。
1.神経質で几帳面な性格
2.質問、確認に対して過剰な反応を示す
3.時々、怯えてる表情をする
4.身に付ける装飾品の種類が少しずつ増えた
5.上司を連れて訪問すると、警戒感からか口数が減り落ち着きがな
くなった
6.他愛のない質問相談を持ちかけて様子を探ってくる
以上はごく一例にすぎないが、実際の出来事なのである。会社内部
では毎日顔を合わせているのでなかなか気付くのは困難かもしれない。
A社のように小規模な会社では人手不足から一人で出納から承認まで
の業務を任せてしまっている企業も少なくないはずだ。大企業に限ら
ず小規模企業も内部統制の構築は急務である。ダブルチェック、承認
までのルール作りなど内部統制を整備する事で未然に不正を防止する
ことも可能となるであろう。
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◆「 その戦い、勝ち目はあるか 」◆
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「ドラッグストアの激戦区に新店舗を計画中ですが、売上予測はい
かがですか」20店ほどのXドラッグストアチェーンを展開しているA社長
は、いつものように立地条件や店舗規模等を説明して、コンサルタント
に売上高予測の調査を依頼した。今や、出店の立地調査を請負う
コンサルタントにとって、売上高を予測することは、かなりの精度で可能
になっている。しかし、競争が激しくなると、売上高予測だけでは出店
可否の判断が難しく、財務力や成長性等の店舗競争力が重要になる。
つまり、総合的な「勝ち目」が必要である。例えば、孫子兵法の総合的
な勝ち目の判定基準は、次のようになっている(「七計」)。
(1)君主は(敵と味方とで)いずれが人心を得ているか
(2)将軍は(敵と味方とで)いずれが有能であるか
(3)自然界のめぐりと土地の情況とはいずれが有利であるか
(4)法令はどちらが厳守されているか
(5)軍隊はどちらが強いか
(6)士卒はどちらがよく訓練されているか
(7)賞罰はどちらが公明におこなわれているか。
(出典:『孫子』計篇・金谷治訳注・岩波文庫)
成熟産業は大体同じであるが、ドラッグストアチェーンの業界で言
うと、孫子兵法の「七計」にあるような総合的な勝ち目のある企業が
生き残っているようだ。