■■ Weekly Fax News 555 ■■
――――◆ 目 次 ◆ ―――――――――――――――――――――
(1)「 今回の景気後退 ― 4社に1社雇用調整実施へ 」
(2)「 禍を転じて 」
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◆「 今回の景気後退 ― 4社に1社雇用調整実施へ 」◆
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景気後退が深刻化する中、企業の雇用状況が悪化している。
帝国データバンク「雇用調整に関する企業の動向調査(有効回答企
業数約1万社)」によると、従業員の削減状況について、08年末ま
でに正社員・非正社員のどちらか、または両方を削減した企業は15.
4%であるが、09年以降削減検討の企業は22.4%とさらに増加。
今回の景気後退が原因で従業員削減または検討中の企業26.9%が、
雇用調整を実施する見込みになる。業界別では製造業が35.7%で、
特に自動車関連である「輸送用機械・器具製造」は非正社員が57%
と、正社員21.5%を大きく上回る。一方で「削減(予定)はない」
という企業は昨年末まで正社員79.8%、非正社員55.8%であ
ったが、09年以降「削減を検討しない(予定はない)」が正社員6
2.3%、非正社員39.6%とそれぞれ減少している。
また、現行の労働者派遣法の改正について「必要あり」との回答は
38.8%であったが、「余裕のない会社は人員削減すらできずに倒
産してしまう」との理由から「必要はない」とする意見もあった。
雇用環境改善政策については「景気対策の拡充(79.1%)」
「環境投資・リサイクル事業の整備などによる雇用の創出」などがあ
った。
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◆「 禍を転じて 」◆
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世の中、派遣社員の契約打ち切り等、雇用不安が問題になっている。
バブル経済崩壊の時は正社員のリストラが深刻であったが、不況はい
つの時代も大勢の人々に禍をもたらすものである。
Aさんは15年前の不況で勤務先からリストラされた。まだ20歳
代で未婚だったのであまり慌てなかったが、突然解雇されたショック
は大きかった。他の会社に就職する意欲が湧かず、やがて何か自分で
商売が始められないかと思うようになった。
ある時、井原西鶴の『日本永代蔵』を読む機会があり、面白い職探
しをして成功した話を知った(巻三の一所収)。ある人が儲かるおも
しろく珍しい仕事を探していると、仕事帰りの大工の小僧が鉋屑や木
端を落としていく姿を見かける。この人は、拾った木屑で箸を削り、
やがて金持ちになって大きな材木商になったという物語。
Aさんは、各地の駅前商店街・繁華街や大型店等を回り、自分に出
来そうな商売を探した。結果、直ちには開業出来なかったが、マッサ
ージ・鍼灸の学校に入学して国家資格を取得し、現在は数人の従業員
を雇用してマッサージ関連の仕事をしている。
あの時の禍(失業)がなければ今日のようなやりがいのある仕事に
就けなかったと、Aさんはむしろ感謝しているくらいである。