■■ Weekly Fax News 565 ■■
―――― ◆ 目 次 ◆ ―――――――――――――――――――――
(1)「 増える非正規社員の契約解除 ― 『雇止め』の対応 」
(2)「 捨て身の境地になって 」
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◆「 増える非正規社員の契約解除 ―『雇止め』の対応 」◆
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非正社員に対する雇止めは深刻さを増している。雇止めには「期間
満了」と「中途解除」がある。中途解除とは、文字通り契約期間の中
途で契約を解除することを意味する。労働契約法17条に「期間の定
めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、
その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇できない」
と示されており、原則として契約解除はできないと判断できる。
厚生労働省では「契約期間は労働者および使用者が合意により決定
したものであり、遵守されるべきもの」としており、「やむを得ない
事由がある場合」は解雇権濫用法理における判断より狭いと判断すべ
きという見解だ。また、仮にやむを得ない事由がある場合でも、その
立証責任は使用者側が負うとしており、契約期間途中での契約解除に
ついては慎重な対応が必要だ。
同省では「有期労働契約については、短期間の契約が反復更新され
た後に雇止めされることによる紛争がみられる」としており、そのよ
うな有期労働者の雇用ルール作りに乗り出す考えだ。具体的には契約
を繰り返し更新していた場合の雇止めの制限や、最長3年間の契約期
間の見直しなどが検討されることとなる。2010年夏までには報告
書をとりまとめて、必要な法改正などが行われる予定だ。
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◆「 捨て身の境地になって 」◆
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「客数が落ちて、弱りました」ある美容サービス関連店の店主が話
し始めた。開店時間から15時までの客数が激減し(営業時間は10
時~19時)、売上が3割減少した。つまり昼間の客数が大きく減少
して、夕刻の客数が増加しているという。あるお客様の、「深夜でも
やっている店はないかしら」という言葉が気になったと言う。昼間働
く人が増え(パート、アルバイト)、夜間しか来店できない人が増え
ているようだ。
筆者が、「夜10時頃までは駅利用の通行人があるようだから、営
業時間を3時間ほど後ろに移したらどうでしょうか」と提案したら、
「高齢のお客様が大抵午前中来ますからねえ」と迷いを示した。時間
帯別の客層を考えると、切り捨てる時間帯に不安を持つようだ。さら
に詳しく時間帯別に客数を分析すると、客数の8割が14時から19
時に来店しており、夜間の営業延長で客数増が見込まれると思われた
(13時から22時で2割増)。
たとえ一時的でも、長年の営業時間と顧客層を変えることは不安で
ある。指導する者の意見を疑い始めれば、実行は困難である。客観的
なデータを示されて素直な心境になれるか否かで決まる。前掲店主は
「変化に応じることが長続きする商いでしょうね。捨て身の心境にな
ります」と決断した。