■■ Weekly Fax News 570 ■■
―――― ◆ 目 次 ◆ ―――――――――――――――――――――
(1)「 労基署への申立て ― 高水準に 」
(2)「 己を反みる者は 」
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◆「 労基署への申立て ― 高水準に 」◆
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景気の低迷に伴う労働環境の悪化により労使間紛争が頻発している。
以前であれば、使用者側の対応に異論がある労働者側がなんらかの処
置をとることは一般的ではなかったが、近年、雇用環境に不満を感じ
る労働者が労働基準監督署などに相談するケースが当然のようになっ
ている。
厚生労働省の発表によると、2008年における労働基準監督署への
不服申立て件数は39,384件(速報値)となり、1955年以来、53年
ぶりの高水準となったことが明らかとなった。もちろん、そのすべてにお
いて使用者側に法令違反事項があるなどの問題点が発生しているわけ
ではないが、いずれにしても労働基準監督署では、そのような不服申立
てを受けた場合には事実関係の調査を行うこととなる。
労働基準監督署の呼び出し調査や立入調査を受け、法令違反行為が
認定されると、悪質な場合は過料や罰金が科せられることもあるので注
意が必要だ。労基署は労働環境の悪化を受け、不当な解雇や賃金の
未払いに対する監視を強化する方針であり、法令に違反する行為は厳
に慎むべきだろう。
労基署のように「署」がつく役所は司法警察権を有しており、一定の
法令違反行為については逮捕や送検する権限があるので、注意が必
要だ。税務署同様、怒らせると怖い存在であることを認識すべきだ。
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◆「 己を反みる者は 」◆
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己を反(かえり)みる者は、事に触れて皆薬石となり、人をとがむる者
は、念を動かせば、即ち是れ矛なり(自己を反省する者にとっては、なに
ごとに触れても皆良薬となる。人の過失をとがめる者にとっては、心を
動かすごとに皆自分を傷つける矛となる。出典:『菜根譚』今井宇三郎
訳注・岩波文庫)。
X社(洋菓子の製造販売業、従業員15人)のA社長(75歳)は、面白
いアイデア商品を次々に開発して、比較的堅実な経営をしている。和菓
子・洋菓子の創業経営者が独自の商品開発に力を入れていることは珍
しくないが、A社長の独自性は新商品の販売成績が期待通りになった
後にある。
月1回、「ヒット商品反省会」と称して、全従業員が参加して新商品の
問題発見集会を行うのである。商品の粗探しであるが(当然、欠点の
改善アイデアも集める)、集会で採り上げられることは名誉でもある。
この集会は先輩後輩関係なく、日常は言いづらいことも遠慮なく発
言する習わしになっている。最大の狙いは、「職人気質の独り善がりに
ならない商品作り」にある。これまでの経験で、この集会で徹底的に
欠点を指摘された商品ほど、その後の改良によって良い売れ行きが長
く続く。反対に、集会であまり欠点や改善案が出なかった商品の寿命
は短いようだ。