■■ Weekly Fax News 580 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 労働経済白書公表 」
(2)「 蓄えが先か、成長が先か 」
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◆「 労働経済白書公表 」◆
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厚生労働省では賃金や物価、雇用の指標から雇用環境及び勤労者の
生活を総合的に分析し、労働経済白書として公表している。先般公表
された平成21年度版労働経済白書によると、経済的な収縮は大きく
なっており、雇用情勢が一層悪化しているという結果となった。
特に平成20年秋以降は有効求人倍率が大幅に低下、完全失業率も
上昇している。一方で物価の上昇が起きており、伸びない賃金と将来
的な雇用不安も加わって、消費を控える傾向が強くなっている。その
ことがさらなる景気後退につながり、企業業績と雇用情勢の悪化にも
つながっていくという負のスパイラルが起きていることが明らかとな
っている。
同省ではまず内需の着実な改善が必要であるとしており、そのため
にも所得の拡大と雇用不安の払拭を進めるべきだとしている。たとえ
ば、非正規労働者が増えていることについては、いずれは正規雇用に
切り替えることなどを通じて、できるだけ長期に働けるシステムの拡
張をすべきであり、また生産性の向上により所得を向上させることな
どを提言している。
労働者についても自発的な職業能力の向上による裾野の広い所得の
拡大を求めており、長引く不況を克服するためには、政労使一体とな
って雇用対策を講じる必要があるようだ。
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◆「 蓄えが先か、成長が先か 」◆
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創業間もない経営者について、事業の成長発展に関して二通りのタ
イプがある。一方は、事業成果を殆ど貯蓄として内部に留め、事業規
模の拡大や成長に再投資しない。他方は、儲けは蓄えず、事業規模の
拡大や経営改善等に使ってしまう。数においては、前者の
方が多いと思われる。
さて、二通りのタイプの良否は決まっていないが、経済の時代背景
にも影響される。経済成長が大きいような時代は、一般に利益を蓄え
るのではなく事業拡大に使う方が報われるだろう。反対に、低成長期
や不景気の時は、利益を蓄えて将来に備えることになる。しかし、経
済状況に応じて首尾よく利益を活用出来る経営者は少ないようだ。
特に、事業の立て直し(事業再生等が典型)の成否は、上記のタイ
プ別によって左右される。立て直しが順調そうに見えても、時間的な
制約によって挫折するのが蓄えのタイプである。他方、少し利益が出
ても貯蓄には廻さず、改善費用や設備投資に使うタイプは、短期間で
立ち直ることがある。
以上は、経済状況に関係なく経営者の性格によってタイプが分かれ
る傾向があるので、各種計画策定の際は要注意である。事業の拡大や
再生を目指す場合は、蓄えより経営改善や再投資を先にすべき時もあ
る。