■■ Weekly Fax News 579 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 助成金の処理停滞 」
(2)「 噂による経営判断 」
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◆「 助成金の処理停滞 」◆
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長引く不況の影響で、雇用環境が悪化していることは周知の通りだ。
派遣社員や契約社員といった非正社員の雇用契約の解除が進む中、正
社員の雇用についても深刻な状況が依然として続いている。
政府も昨年12月の「雇用調整助成金」制度の拡充(新たに「中小
企業緊急雇用安定助成金」を創設)などを行ない、特に中小企業にお
ける雇用確保に対する援助を行っている。中小企業緊急雇用安定助成
金は中小企業が経済上の理由などにより、事業活動の縮小を余儀なく
され、労働者を一時的に休業等又は出向をさせた場合に、手当や賃金
の一部を助成するという制度である。
雇用状況が深刻な中、助成金を受給したい中小企業が激増。厚生労
働省によると前年度の100倍もの申請が寄せられている状況とのこ
とだ。申請に対する事務処理が追いつかず、通常想定される支給時期
より大幅にずれ込んでからの助成金受給という事態となっている。助
成金を事業資金として当て込んでいた企業としてはとんだ思惑はずれ
の結果となっており、新たに事業資金の手当てを別途考える必要も出
ている。
行政側は事務処理に対する人員増を検討しているが、予算の問題も
あり、一足飛びには実現しない状況だ。助成金の申請に当たっては、
受給まで相当の期間が必要であるという認識でいた方がよいようだ。
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◆「 噂による経営判断 」◆
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噂というものは不思議である。誰が言ったか?目的は何か?真実の
確率は?そしてその噂はいつ消えたかも分からない。
X建設会社のA社長は、業界団体や取引先グループの会合に出るこ
とが好きである。会合の翌朝は幹部職員を集めて、会合で聞いた話
(A社長は業界の極秘情報と言う)をそのまま伝える。「国の政策で
住宅建設着工数が半年後から2割も減るらしい」「Y社の分譲地販売
が大変順調らしい」「Z社の資金繰り難は某信用金庫が支援するらし
い」等と、ほとんどが「らしい」で終わる。しかも一旦社員に伝達す
ると、本人にもその噂が一層真実と思われてくる。
ところで、X社の経営計画はA社長の情報と第六感によって作られ
ている。しかし、経営戦略が景況の流れと合わず、時には提携先の破
綻から経営危機になったこともある。A社長の第六感はともかく、情
報の正確性に問題がある。収集情報の信憑性の検証が実行されていな
いからである。
「噂はあらゆる情念から出てくる。嫉妬から、猜疑心から、競争心
から、好奇心から、等々。(中略)あらゆる噂の根源が不安であると
いうのは真理を含んでいる。ひとは自己の不安から噂を作り、受け取
り、また伝える。」(出典:三木 清著『人生論ノート』新潮文庫)