■■ Weekly Fax News 582 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 労働者派遣法改正案 ― 結局廃案に 」
(2)「 初心に返る 」
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◆「 労働者派遣法改正案 ― 結局廃案に 」◆
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混迷を続ける政局は、結果として衆議院の解散という流れとなり、
前国会からの継続案件であった労働者派遣法(労働者派遣事業の適正
な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律)改正
案などが、結果的に廃案になった。政府案では日雇い派遣は原則禁止
だが、日雇い派遣労働者の適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがな
いと認められる業務を政令で定め、例外的に認めるとしていた。
一方、民主、社民、国民新の野党3党は別途同法の改正案を衆議院
に提出していた。こちらは日雇い派遣を禁止、さらに派遣労働者の雇
用契約については、雇用契約期間が2ヶ月以下の労働者派遣を禁止す
るとしている。同改正案では罰則が大幅に強化されており、現行では
罰金の最高額は300万円だが、これを3億円に引き上げるとしてい
る(対象は「違法な労働者派遣事業を行った法人」「違法な労働者供
給事業を行った法人」)。また新たに派遣先に対する罰則の導入も盛
り込まれている。
衆議院の解散により両法案とも廃案となったわけだが、衆議院選挙
の結果次第では野党3党案が「政府案」として再提出される可能性も
ある。派遣法の改正は喫緊の課題ともされているため、どちらの改正
案が成立しても対応できるよう準備しておいたほうがよいだろう。
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◆「 初心に返る 」◆
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「事窮まり勢蹙(ちぢ)まるの人は、当にその初心を原(たず)ぬべし」
(仕事に行きづまり形勢が全くきわまった者は、よろしくそれに志し
た初心に立ち返って考え直すべきである)出典:中国明代の洪自誠著
『菜根譚』(今井宇三郎訳注、岩波文庫)
X社は工業団地で電気部品製造業を営んでいるが、平成20年下期
からの不況により売上が半減してしまった。これまでの財務状況が好
かったので当面は事業を続けているが、A社長は従業員の暗い顔を見
ているのが辛く、出社をためらうほど悩んでいた。
そこで、知人を介して筆者にX社の経営相談依頼があった(目的は
経営改善ではなく、A社長の経営姿勢を指導すること)。社長は、初
対面ながら興奮気味に悩みを話した。「30歳で独立して、20年以
上同じような仕事をしてきたが、まさかこんな目に遭うとは想像もし
なかった。独立した時は家内と自分二人分の売上があれば良いと思っ
たが、この20年順調に伸びてきた」
そこで、独立した時の初心に戻って、今後の経営戦略を練ることを
薦めた。「初心に返れば、半分でも仕事があることに感謝します」
「社長が新しい戦略を打ち出せば、社員も心機一転して働きますよ」
「経営体は生き物で、初心に返ることが療養です。体力(蓄え)のあ
るX社は必ず治りますよ」