■■ Weekly Fax News 583 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 最低賃金改定 ― 見送りが多数 」
(2)「 商店の後継者難 」
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◆「 最低賃金改定 ― 見送りが多数 」◆
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企業が従業員に支払う義務がある最低限の賃金である最低賃金は、
都道府県ごとに設定されている。近年、問題となっているのは、最低
賃金で働くより、働かずに生活保護を受けた方が収入が高くなるとい
う逆転現象が起きていることだ。
企業側としては、長引く不況の影響もあり、できれば賃金の引上げ
はしたくないというのが本音だろう。しかし、前述のような問題もあ
り、最低賃金については引上げ圧力が高まっていた。
そのような中、厚生労働大臣の諮問機関である中央最低賃金審議会
は今年度の最低賃金の改定目安をまとめ、厚労相へ答申した。最低賃
金の改定目安は35県で据え置きとし、残りの12都道府県で引上げ
としている。もっとも引上げ額が高いのは東京都で20円~30円、
引上げ額が低いのは秋田県で2円となった。この結果、最低賃金が生
活保護の支給額を下回る地域の解消は実現せず、むしろ08年度と比
較すると3県増え、12都道府県となる見通しだ。
最低賃金は今回の改定額の目安の決定を受け、都道府県ごとに引上
げ額を決め、今秋から適用されることになる。現在の全国平均は時給
703円で、これが710円~712円程度となる見通しだ。なお、
現状維持とされた35県でも、各県ごとの判断で引き上げることは可
能となっている。
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◆「 商店の後継者難 」◆
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商店街衰退の一因に商店の後継者難がある。農家の後継者難と似て
いると思うが、相続との関係で少々考えてみよう。
第一のケースとして、商店主(被相続人)の子供が数人いて、その
うちの一人Aさんが商売を継いでいた場合。
相続において、一般に他の兄弟はAさんが商売を継ぐことに異存は
ないであろうが、問題は遺産分割である。Aさんに既に後継者がいれ
ば、放棄又は少ない相続で納得するかもしれない。しかし、Aさんが
近い将来廃業を考えていたり、Aさんの子供たちが商売を継ぐ意志が
なかったりすれば、他の兄弟は放棄しないかもしれない。平等な相続
をすれば、商売の継続が難しくなろう。
第二のケースとして、商店主の子供が数人いるが、現在はサラリー
マン(又は他の自営)で商店主が亡くなったら(又は定年になったら)
後を継ごうと考えている場合。
子供の一人が後継者になっても、実績が無いので継続性に信頼が持
てず、他の兄弟は相続放棄(又は後継者が大部分を相続)をしない可
能性が強い。結局、商売を廃業して法定相続分に近い遺産分割となる。
商店主が事業継続を本気で望むならば、後継者の取り分が多くなる
ような遺言を残し、且つ生前から関係者が話し合いと取り決めをして
おくくらいの気概が必要と思う。