■■ Weekly Fax News 618 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 労働基準法の改正 ― 猶予されているうちに対応を 」
(2)「 指揮命令の統一 」
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◆「 労働基準法の改正 ― 猶予されているうちに対応を 」◆
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4月1日から改正労働基準法が施行されています。これにより、月
60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率が現行の25%から5
0%以上に引き上げられることになりました。単純計算では、月間1
00万円程度の残業代を支給している企業では、20万円程度支給額
が増えることになります。
また、労使協定により上記割増賃金率の引き上げ分については、割
増賃金の支払いに代えて、有給休暇を付与することが可能となりまし
た。これらの改正は、中小企業においては当分の間、適用が猶予され
ます。
また、「時間外労働の限度基準」で定める限度時間を超える時間外
労働について、割増賃金率を法定の25%を超える率とすること等が
努力義務に、労使協定により1年に5日分を限度として年次有給休暇
を時間単位で取得することが可能となりました。こちらの改正は中小
企業への猶予措置はありません。
割増賃金率の引き上げは、企業収益に大きな影響を与えかねません。
施行が猶予されているうちに、時間外労働を減らすよう人員配置の見
直しを行う、残業するのが当たり前といった風潮を廃し、残業しない
雰囲気を作るなど、社内体制を整えておくことが重要となるでしょう。
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◆「 指揮命令の統一 」◆
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X社(中古車販売チェーン、社員50人)のA社長(52歳)は、
10年前に父親のB会長(83歳)から事業を引き継いだ。A社長は
謙虚な性格で従業員からも尊敬され、業界の経営者仲間からも信頼さ
れている。ところが、先代のB会長が時々会社に来ると、社内の雰囲
気が普段と変わる(具体的には、上司の命令に自信が欠けるようにな
る)。B会長が馴染みの幹部から経営状況の報告を受け、一度決めた
仕入の方針や品揃えの重点変更を指示するのである。B会長の指示に
従う義務はないが、断定的に命令される為か不安になる社員が多い。
B会長の口癖は、「私の時代の経営は変化対応に迅速性が最優先し
た。朝決めたことでも、必要ならば昼には変えた。朝とは逆の命令も
した。だから、車が飛ぶように売れたのだ」というものである。
A社長は経営管理の勉強に熱心で、経営方針の明確化と指揮命令の
統一を重視していた。やむを得ず、A社長はB会長に、「経営方針や
指揮命令に意見があれば、必ず私に言って下さい。変更が必要であれ
ば、私が社員に指示しますから」と申し入れた。
軍隊や警察・消防隊等が典型であるが、組織(会社も当てはまる)
の指揮命令は統一性が必要だ。特に、不況期や緊急時は指揮命令系統
の混乱が最大の失敗要因となる。