■■ Weekly Fax News 626 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 期待権等の侵害 ― 内々定取り消しも注意必要 」
(2)「 職場における嫉妬と競争心 」
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◆「 期待権等の侵害 ― 内々定取り消しも注意必要 」◆
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景気の低迷による業績の悪化などを理由に、採用内定を取り消す企
業が一時続出した。厚生労働省によると2009年3月卒業予定の学
生2,143人が内定取り消しを受けている。
企業側の甘い採用計画が狂った結果とも言えるが、厚生労働省の指
針では「採用内定者について労働契約が成立したと認められる場合に
は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められ
ない採用内定取り消しは無効とされる」としており、安易な取り消し
は出来ないことを理解しておくべきだろう。
先般、内定ではなく、その前段階である内々定の取り消しについて
その有効性を争った裁判の判決があったが、学生の期待を不当に侵害
する行為であるとし、2人の学生に対し企業側に総額195万円の賠
償を命じている。内定とは異なり、内々定では労働契約が成立してい
ないとしていながらも、その取り消しは企業側に信義則違反や期待権
の侵害があるとしたものだ。
企業側は判決を不服として控訴しているが、この判決が他の企業に
与える影響は少なくないだろう。内定ではなく、内々定という段階で
も、その取り消しは訴訟リスクが発生する行為であることを十分理解
し、今後の採用計画をすすめる必要があると言える。
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◆「 職場における嫉妬と競争心 」◆
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職場が同じ者が友人関係になることは、違う職場の者よりも難しい
と言われる。一般に、職場や立場が全く違う者の間には嫉妬や競争心
が少ないが、境遇が近い者ほどお互いに嫉妬や競争心が生じ易いもの
だ。
上司が部下を注意するような場合は周囲にいる同僚の存在をあまり
気にする必要はないと思うが、特定の部下をほめるような場合はより
神経を使わなければならないと思う。これは単に同僚の前でほめられ
た部下が照れくさいというだけではない。同僚から嫉妬されることを
恐れる気持ちがあると、上司の言葉を素直に喜べないからだ。
ところで、嫉妬は時々競争心と混同される。競争心はその気持ちや
態度を公然と表明しながら前進するが、嫉妬は相手の幸福を羨む気持
ちを内に閉じ込めて、相手の高い境地を自分の低い境地まで引き下ろ
す感情である。会社が特定の社員を昇進させたりほめたりする時は、
嫉妬ではなく競争心を醸成させるような心遣いが必要である。
一般に、部下は上司(経営者を含めて)に平等心を強く求める。特
定の社員をほめたり、高い評価を付けたりすることには、絶対的な平
等を期待する。上司の部下に対する称賛(昇進等も同じ)が合理的差
別と納得出来れば、「自分もあのようになりたい」という前向きな競
争心を醸成することになる。