■■ Weekly Fax News 630 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 65歳までの継続雇用 ― 施策と企業側に溝 」
(2)「 年季を入れる 」
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◆「 65歳までの継続雇用 ― 施策と企業側に溝 」◆
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厚生労働省では希望者全員が65歳まで働くことができる制度の導
入を検討している。これは年金の支給開始年齢が徐々に引き上げられ
ることに伴う措置だ。
周知の通り、老齢基礎年金の支給開始は原則として65歳だ。加え
て、1941年(女性は1946年)4月2日以降に生まれた人から
は徐々に老齢厚生年金の支給開始年齢も繰り上がっていく。最終的に
は1961年(同1966年)4月2日以降に生まれた人は老齢基礎
年金も老齢厚生年金についても65歳からの支給となるわけで、その
ような人たちが60歳の定年後に希望しても働けないとなると、5年
間も無職で無年金の高齢者が発生することとなる。
厚生労働省では継続雇用について一定の採用基準を設けることを認
めている現在の高年齢者雇用安定法を改正し、そのような基準の設定
ができないようにすることで、希望者全員を65歳まで雇用する制度
を導入する意向だ。
一方、高年齢者雇用については若年労働者の失業率を増加させる懸
念もある上、企業の生産性の問題もあり、企業側は一足飛びの制度改
正には反対の姿勢だ。今後、労働政策審議会で検討がなされる予定で、
審議の行方が注目される。
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◆「 年季を入れる 」◆
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特定の仕事で一人前になるとは、どういう状態になることか。例え
ば医者であれば、医学の知識を習得して診療さえ出来れば良いのだろ
うか。病状を分かり易く説明したり、患者が安心するような態度や心
配りをしたりすることが必要ではなかろうか。つまり、客観的には計
れないような隠れた資質を習得することが求められる。
職人・教員・政治家・販売員・警察官・運転手等あらゆる仕事が、
その仕事特有の知識や経験を習得しただけでは、まだスタートライン
に着いたのみである。仕事の神髄が体に染み付くまで長年の修養を継
続しないと、本当の職業人にはなれない。
昔から、職人の技術・客の接遇方法・取引上の駆け引き・仕入商品
の選別センス等は、人は年季を入れなければ一人前になれないと言わ
れた。年季を入れて仕事をしてきたかどうかは、一般に40歳代以上
になってから分かる。無闇に職を転々としたり、同じ仕事を続けても
初期の段階で満足してしまったりすると成長が止まってしまう。また、
経営者や技術者等の後継者が立派に育っている職場の共通点は、仕事
に必要な表面(知識・技術)と裏面(人徳・人脈・感性等)の能力を
しっかり習得した経営者や技術者等がいることである。この能力は年
季を入れることによってのみ得られる。