■■ Weekly Fax News 634 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 個人請負には注意が必要 ― 労基署への相談一般化 」
(2)「 後継ぎの苦悩 」
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◆「 個人請負には注意が必要 ― 労基署への相談一般化 」◆
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業績悪化により正社員の人件費負担に音をあげる企業は少なくない。
正社員の雇用には社会保険料や労働保険料などの福利厚生費が少な
からずかかるため、その負担も企業にとっては大きなものとなる。
そのため、正社員などの直接雇用契約を解除し、いったん退職させ
てからその社員を個人事業主として請負契約を締結する例が見受けら
れるようになった。
その場合、たしかに福利厚生費の負担もなくなるし、雇用者ではな
くなるため、労働基準法や労働組合法などの規制に縛られる必要もな
くなるわけだ。
しかし、たとえば労災事故などが発生した場合、その労働形態の実
態が問われることになる。つまり、実態としては企業側の指揮命令系
統に入っており、その指示に従って労働をしていた場合などは請負契
約の形態をとっていたとしてもその実態で判断されることとなる。そ
の結果、企業と請負契約者との間にトラブルが起きる可能性が高くな
るわけだ。
労使間トラブルは以前とは異なり、労働基準監督署などに相談をす
ることが当たり前のようになっている。人件費負担を減らすための
「偽装」に近い形での雇用形態の変更は、後々のトラブルにつながる
こともあるため注意が必要となる。
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◆「 後継ぎの苦悩 」◆
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日本や中国の古典を見ていると、人の三大親不孝として後継ぎがい
ないことがよく出ている。子が先祖代々の家(特に家業)を素直に引
き継ぐことが当然とされた。同時に次の後継ぎを残すことも義務とさ
れた。
中小企業の多くに後継者がいないと言われるが、その意義は多様で
ある。経営者に子が全くいない場合だけでなく、たとえいても他の仕
事に就いていたり、一緒に仕事をしていても将来は転職を考えていた
りする場合もある。また、後継者がいても、自分の代で廃業する割合
も少なくない。
Aさんは、息子夫婦と一緒に駅前商店街で老舗酒店を経営していた。
10年以上前から駅前商店街の衰退による商売不振のため、いつ廃業
するか悩んでいた。家族の収入合計は月20万円以下だった。Aさん
は何度も廃業を択ぶ決意をした。敷地が広いので、土地活用をすれば
今よりも余裕のある生活が出来る自信があった。しかし、明治時代か
ら先祖が苦労して築いてきた商売を止める疚しさが強かった。お盆の
墓参り毎に廃業の決意を報告しようと思いながら、実行を最近まで引
き延ばしてきた。
今、Aさんは駐車場を経営し、息子夫婦は近くのテナントで居酒屋
を経営している。酒屋は廃業したが、先祖が住んでいた土地を維持し
ていることで満足している。