■■ Weekly Fax News 637 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 4月入社社員へ ― 10月から有給休暇対応を 」
(2)「 暖簾(のれん)を守る 」
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◆「 4月入社社員へ ― 10月から有給休暇対応を 」◆
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年次有給休暇は入社時に付与する義務はない。有給休暇は労働基準
法上、継続して6ヶ月勤務し、かつ所定労働日の8割以上出勤した者
に付与する義務がある。そのため、仮に4月1日に入社した社員がい
る場合、8割以上の出勤という条件を満たしていれば、10月1日か
ら有給休暇を付与する必要があるわけだ。
入社時から有給休暇を付与している企業においては問題ないが、法
律の原則通り、6ヶ月間の継続勤務等を有給休暇の付与要件としてい
る企業においては10月から発生する有給休暇について対象者へのア
ナウンスと休暇管理システムへの登録等をする必要がある。
初年度には10日の有給休暇を付与する必要があるが、たとえば毎
年1月1日を有給休暇の付与基準日としている企業においては、10
月1日から有給休暇が発生する社員のみを同日を基準に管理すること
は煩雑であるため、全員一律の基準日による管理が認められている。
この場合、10月1日から12月31日までの期間分として10日の
有給休暇を付与する必要はなく、期間按分した日数分を付与すればよ
いが、このケースのように按分すると3.3日となるような場合は端
数を切り捨てることはできず、切り上げて4日の有給休暇を付与する
ことになる。
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◆「 暖簾(のれん)を守る 」◆
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山崎豊子著『暖簾』(昭和35年新潮文庫)という小説に、主人公
(浪花屋店主)が銀行支店長から何を借金の抵当にするつもりかと問
い詰められる場面がある。
主人公の「本家から分けていただいた浪花屋の暖簾が抵当だす、大
阪商人にこれほど堅い抵当はほかにおまへん、信じておくれやす、暖
簾は商人の命だす」という言葉に感動して、支店長が金を貸すという
ものである。
一般に中小企業が融資を受けるに際しては、担保(不動産の抵当権や
連帯保証人等)が求められる。しかし、金融機関の理想としては、
「万一の問題が発生して」担保を実行することではなく、着実な事業
計画や経営者の能力が信用できるかどうかである。担保は、リスクの
保険にはなるが必ずしも融資先企業発展の礎になるものではない。デ
パートや商店等で買い物をする消費者の態度も同様で、万一事故が起
きた時に補償を受けられるかどうかを一番の選択基準にしている訳で
はない。優先するのは、食品店であれば、商品の安全・品質・価格の
適正さ、お客様を接客する態度の良さ、快適な買い物環境等に信頼が
あるかどうかである。過去も現在も、理想的な経営理念を掲げて、店
主がそれを守り続けようとする強い信念を表明するもの、及び他人が
それを信用する際の媒体物が「暖簾」である。