■■ Weekly Fax News 643 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 指導による残業割増賃金 ― 昨年度合計額約116億円 」
(2)「 参入の時来(きた)る 」
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◆「 指導による残業割増賃金 ― 昨年度合計額約116億円 」◆
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労働基準局はこのほど、全国の労働基準監督署が平成21年4月か
ら平成22年3月までの1年間に、残業に対する割増賃金が不払いに
なっているとして労働基準法違反で是正指導した事案のうち、1企業
当たり100万円以上の割増賃金が支払われた事案の状況を取りまと
めたことを受け、その内容を公表した。
是正企業数は1,221企業(前年度比332企業の減)。支払わ
れた割増賃金合計額は116億298万円(同80億1,053万円
の減)。対象労働者数は11万1,889人(同6万8,841人の
減)。割増賃金の平均額は1企業当たり950万円、労働者1人当た
り10万円となっている。また、1,000万円以上支払ったのは1
62企業で全体の13.3%、支払われた割増賃金の合計額は85億
1,174万円で全体の73.4%を占める。
一方、1企業での最高支払額は「12億4,206万円」(飲食店)、
次いで「11億561万円」(銀行・信託業)、「5億3,913万
円」(病院)の順となった。
厚労省では、「賃金不払残業総合対策要綱」および「賃金不払残業
の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針」等を策定し、労使
間での主体的な取り組みや是正を促している。
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◆「 参入の時来(きた)る 」◆
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人が安心して「時来る」と考えて決断した事柄は、実は「時遅かり
し」の可能性が相当高いのではなかろうか。このことに関して、福沢
諭吉が面白い話をしている(『文明論之概略』巻之四、岩波文庫所収)。
すなわち、「所謂(いわゆる)時来れりと称するものは多くは真の時
機に後れたる時なり。食事の時は飯を喰ふ時なり、飯を炊くの時は其
以前になかる可(べか)らず。飯を炊かずして空腹を覚え、乃ち時来れ
りと云うと雖(いえ)ども、其時は炊きたる飯を喰ふ可き時にて、飯を
炊く可き時には非ず」、と。
そもそも、新しいビジネス参入の時機を得ることは、いざ決断とな
ると意外に難しいものだ。例えば、カラオケボックスやコンビニエン
スストアが始まった頃、自信と安心を以て経営に参入した人は少なか
ったであろうが、この人達は創業者利益が大抵得られた。しかし、や
がて全国的にこれらの店舗が普及した頃、世間に定着した業態として
安心して参入した人達は相当数が失敗に終わったのではなかろうか。
この業態の需要が急増した時機(簡単に利益を得やすい)と参入期が
ずれていたからである。
経営力の一つに先見性があるが、これは単に先を見通す感性だけで
はなく、他人より早く正確に情報を集めて分析し、素直に実行に移れ
る勇気ある素質である。