■■ Weekly Fax News 662 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 計画停電等による休業時の賃金の取扱い 」
(2)「 驕(おご)らない商法 」
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◆「 計画停電等による休業時の賃金の取扱い 」◆
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周知のとおり、使用者の責めに帰すべき事由により従業員を休業さ
せる場合には、労働基準法第26条の規定により平均賃金の100分
の60以上の手当を支払う必要がある。「使用者の責めに帰すべき事
由」とは、たとえば業績不振などによる生産調整のための休業など、
不可抗力以外のものを意味する。天災事変などによる休業については
手当を支払う必要はない。
先般発生した東北地方太平洋沖地震の影響による計画停電のための
休業については、厚生労働省通達により「原則として使用者の責めに
帰すべき事由による休業には該当しない」とされているため、天災事
変などと同様、手当を支払う必要はない。
また、同通達では、計画停電があったとしても必ずしも作業を休止
しなくてもいいような事務部門などの休業については前述の限りでは
ないが、現場が休業しているのに事務部門のみを稼働させることが企
業の経営上著しく不適当と認められるような場合については、事務部
門の休業についても手当を支払わなくても同法違反にはならないとし
ている。これらはあくまでも法律上の解釈であり、社会情勢などを考
慮して手当の支払など臨時の措置がとれないかどうか検討することも
選択肢の一つだろう。
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◆「 驕(おご)らない商法 」◆
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経営規模の大小に係わらず、経営者が非常に困難を感じることの一
つに、資金繰りの工夫がある。これさえ無ければ経営者は楽だと言い
切る人もいる。経営相談を受けた時、経営者から資金繰りの悩みを聞
くことは多いが、前向きな質問ばかりではなく、感情的になって愚痴
(又は金融批判や得意先の不払い等)を言い続けている人もいる。以
上と反対に、経営が順調で収入が高い経営者が発言すると、時に「驕
った大きな態度」を表すこともある。『論語』には、「貧しくして怨
(うら)むこと無きは難(かた)く、富みて驕ること無きは易(やす)
し」とある(金谷治訳注、岩波文庫)。ある中堅企業の経営者から聞
いたが、「得意先や消費者を最も恐れなければならないのは、商売が
不調の時ではなく、金に余裕があったり、売上が大きく伸びたりして
いる時だ」と言う。このような時は、「軽率な気持ちで新分野に参入
したり、大きな態度で取引先・銀行・消費者等に対応したり」して、
関係者から軽蔑されると言う。
人が貧しく窮している時に、怨み言を厳しく禁ずることは無理かも
しれない。しかし、商売や金に余裕のある時は、経営者の心がけ次第
で謙虚な態度がとれるのではなかろうか。大抵の人は、富んでいてし
かも驕らない所に集まってくるものである。